本人確認の質問

最近とあることで「私が私であることの証明」に相当な時間とお金がかかりました。国を挟むとわからない事情が発生するので、一方的に相手が悪いとは言いませんが、「もうちょっとなんとかならないのか」と心の底から思いました。同時に、ドライな北米文化とウェットな日本文化の差もまざまざと感じました。どういうことかというと、込み入った案件に対し、「じゃあその分料金が高くなりますよ」と言うのが北米で、「こっちも一生懸命やっているんですよ……」と長い話を聞かされるのが日本です。

多くの人は、自分の個人情報が漏えいするのを恐れて、デジタル化に反対しますよね。でも、今私は「自分が自分であることの証明」が、多額の料金と引き換えに、昨日まで私のことを全く知らなかった公証人によって証明される事実に、何とも言えない不思議な思いをしています。別に「公証人」を軽視してるとかではありませんよ!

それはさておき……

少し前、カナダの税務署に用事があって電話しました。還付金が入るはずだったのですが、受け取り用の銀行口座を私が閉じていたため、税務署はそこへ還付金を振り込んだのに、私は受け取っていない事態が発生…… だから、電話したのです。

ややこしい話だし、本人確認のために聞かれるであろう様々な情報を用意しつつ、電話で問い合わせました。ところが、いきなり難度の高い質問をされ、たじたじとなりました。探せば答えは見つかるけど、すぐに答えられない…… 相当待たせた挙句、恐る恐る聞いてみました。

「その質問、パスしていいですか? すぐに答えが見つからないので、次の質問お願いします」

「あ、いいですよ」と明るい返事。

セキュリティの質問をパスできるとは!(何回もパスするとアウトなのでしょうが)。還付金もすぐに振り込んでくれました。見晴らしのいい世界へ前進できた私は、気持ちが大きくなって、質問してみたくなりました。

「最初に振り込んでくれたお金って、どこへいったんでしょうね?」(結構大きい金額)

「さあ、わかりませんね」

デジタル化が進むということは、こういうことなのでしょう。カナダ国税庁は、「ちょっと待ってね、あなたのプロファイル画面を出すからね」と私のことを何もかも知りながら、しつこく「本人確認のための質問」をする。でも確認さえ取れれば、お金はあっさり振り込んでくれる…… たまたまなのかもしれませんが、ちょっとうれしかったです。

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