読んでる途中から、短編小説なのか、エッセイなのか混乱するほど語りが「村上春樹」だったけど、一応8作とも短編小説らしい。
8作品のうち、『謝肉祭』が興味深かった。「謝肉祭」はシューマンのピアノ曲のこと。「ブスな女と美男のカップル」の「ブスな女」が主要登場人物で、限りなく村上春樹っぽい男友達と「シューベルトの一部のピアノソナタいいよね」って言い合っている(1行しか書かれていないけど)。私はシューベルトのピアノソナタがほぼ全曲大好きで、そのソナタ集を一日中グルグルと聞いても飽きない。どこがいいって、なんかきれいだから。「謝肉祭」も好きですけどね。
アマゾンのコメント見たら、「つまらない」って酷評されていた。短編って基本、余白というか「書いてないこと」がたくさんあって、内容も日常的なものが多くて、響かなければ「なんじゃそりゃ?」って思ってしまうよね。私は村上春樹なら、エッセイと短編が好きです。