Lack of Awareness

「意識高い系」と意識の高い人々を揶揄する言葉が流行りだしてずいぶんと経ちます。自分のことや明日のことで精一杯なのに、遠い外国のことや、いつやってくるのかわからない未来のことで説教しないで!! という叫びを短く凝縮させたような言葉です。ただ、こういう表現はどれほど浸透しても揶揄でしかなく、イソップ物語でキツネが「チェ、あのブドウは酸っぱいんだよ!」と言っているのに等しい。人間臭さを放っていて好きですが。

しかしながら、「意識が高い人々」に「多様性」を声高に説教され、まるで自分が偏狭であるかのような言い方をされてしまうと、「いやぁ、思考の多様性を尊重してよ!」と言いたくもなります。ところが議論には滅法弱く、ついつい「意識高いね」と褒めているかのように見せかけて終わり……。

私は今、山崎豊子の『不毛地帯』を読んでいるのですが、主人公の壱岐正は、戦前の軍事教育を受けた超エリートで、戦後、商社で働きながら、ものすごく冷徹に物事を判断し、情報通で(情報の質を確かめるのがうまいという意味)、会社を大いに成長させています。ところが、彼に「蹴落とされた」「脅かされている」と感じる人々が、じゃんじゃん出てきて彼の足を引っ張る…… この負のパワーのすごさといったら!! しかし、壱岐正は絶対にこうは言わないのです。

「あいつら、意識低いな」

じゃあ、お前はどうなんだよ!? って話なんですが、私は個人的に揶揄表現はなるべく避けるようにしています。とは言っても、いつの間にか口から出ているのですが。一応、言霊を信じてます。

ちなみに英語の「Awareness」には、翻訳者として悩まされることが多々あります。それは何を「Aware」しているのかがよくわらかないからです。「Aware」って意外と無責任だし。幸いなことに日本語でも「意識している」というのは、ぼやーっとしているので助かってますが。テクノロジーの世界でも、「hardware-aware」なんて言葉が出てきます。「何だそれは!」です。最近のテクノロジーは意識が高くていやになります。

It’s been dealt with

日本からアメリカに渡り、初めて仕事をしたとき、「あ、もうそれやりました」と言うのに「It’s done」といつも言っていました。でも、「あれはもう(私もしくは誰かが)着手してますよ(終わってはないけど)」と言いたいときに、何といえばいいのかな? と思っていたら、アメリカ人が「It’s been dealt with」と言っているのを耳に挟み、「これか!」と思いました。現在形過去完了と受動態のダブル技ですが。

今回のミニチュアのティーセットは、フランスのリモージュ焼のミニチュアです。ま、本物ではないと思いますが。アンティークのミニチュアのティーセットの裏側には、「made in Japan」とか「made in occupied Japan」と記されていることがよくあります。実に細かい花の絵などが手描きだったりして見とれてしまうのと同時に、戦後直後はこういうものを作っていたんだなぁ、としみじみ思ったりするわけです。

ちなみに私の祖父は戦後に起業しました。日本軍が使っていた土地を買って工場を作って、ある商売を始めました。化学の知識が相当必要そうな商売なのに祖父は元銀行員だったし、商学部出身だったので、誰かとタッグを組んだのでしょう。そういうたくましさは、私たち三姉妹にもちょっとだけ流れているから不思議です。

I’m melting

私の住んでいる北国では、30度を超える日はそんなに多くはないですが、30度を超えようものなら、「暑い暑い!」と騒ぐ人が半分、長い冬のつらさを思い出して「夏を楽しめ!文句言うな!」とたしなめる人が半分、といった印象を受けます。しかし往々にして、「暑い」という言葉は繰り返されると、うっとおしいものです。

そこでもう少しポジティブに「I’m melting!」と言ってみることを提案。「溶けてしまいそう!」の意味です。結婚式でバージンロードを歩くとき、感動で足がすくみ、せっかくのお化粧が流れるほどの涙を流してしまいそうなときには、down をくっつけて「I’m melting down!」と言うのもありです。

食料品を両手に抱え、お母さんが帰宅する。お母さんは汗をだらだら流しながら、「溶けそうやわ!」と一言。それを聞いた子どもは、「そうか、お母さんは溶けるほどに暑いのか」、よし、ここはひとつ、うちわであおいであげよう…… と親孝行。

お母さんも決して、「I’m melting! Melting! Melting!」とこれ見よがしに何回も言ってはなりません。人前で(←ここ重要)ドラマチックに「I’m melting!」と一言発し、買い物袋をドサッと床に置く、これだけでいいのです。

「Melting」と言えば、「Melting Snow」を「残雪」とか「なごり雪」と和訳したりしますが、逆転の発想は、翻訳の基本技術のひとつでもあります。

ところで、今回動画に使ったミニチュアのオレンジジュースは、最近買ったものです。まねっこのぬいぐるみたちには小さすぎます。ミニチュアの世界では縮尺が重要なのです。

You’ve asked for it

4月に撮りためた動画が底をついてきました。まだ何本か撮影はしてあるけど編集してないし、ネタ帳にはネタもいっぱいあるけど撮影してないし…… はい、今回の動画は「身から出た錆」「自業自得」がテーマです。

またしても「Go to Travel」に関して英語警察が出動しています。文法が間違っているとか、英語ネイティブはそんな言い方しないとか…… それより、日本政府が日本国民に向けて発している言葉なのに英語はやめたほうがいいんじゃない? いや、そんなこと言ってないで自分のできる範囲で観光業を助けてあげれば? と思う私です。

この「Go to」で思い出しましたが、私の住むオンタリオ州の車のナンバープレートには「Yours to Discover」と書かれています。「オンタリオ州は君のもの、だけど、オンタリオのどんな魅力を発見するのかは君次第」という意味です。つまり「車であちこちぶらぶら出掛けて行って、自分でいろんな発見してね」というゆるい標語です。「ああ、出かけたい!」と思わせる言葉だと私は思います。

ちなみに、今、私がすごく行きたいところはロンドン(+イギリスのあちこち)です。何回行っても飽きない(シカゴについても同じことを言っていますが)。

No Need To Butter Me Up

誰でも褒められたい。褒めてほしい。

しかし褒め加減も重要です。度を越すとおべっかやごますりになり、裏には何かあるのでは? と勘ぐってしまいます。ティーンエージャーの頃、毎日のように私の容姿をしつこいほど褒めてくるクラスメートがいて、「ふ~ん」「そんなことないよ」「ありがとう」のバリエーションでひたすら返していたのですが、ある日、本当に嫌になって、「そーですが、何か?」的な言葉を返したところ、痛い目に遭いました。大人になった今でも「なんであのとき我慢ができなかったのかな」と思います。本当に、褒めるほうも、褒められるほうも、加減が…… 自制心が求められるのです。

「You don’t need to butter me up. 」は「おべっかなんて使わなくていいんだよ」です。おべっか、ごますり、ご機嫌取り、どれでもいいですが。

それはさておき、この動画に出てくる、小さな猫の絵皿に注目。私のアンティーク探しのなかで1,2を争うお宝発見だったのです。もう1つのお宝は、このウェブサイトの「Welcome」ページにあるウィローのミニチュアカップ&ソーサ―。この2つはネットで見つけたのではなく、巨大なアンティーク市場で見つけたのです。