白鯨 モービィ・ディック(2)

『白鯨 モービィ・ディック』を読んでいるうちに、スエズ運河座礁事故が起き、はっと気づきました。『白鯨』が刊行されたのは1851年、スエズ運河開通は1869年、パナマ運河開通は1914年なのです。 『白鯨』 には、南アフリカの喜望峰沖は世界中の船が行きかう「四辻」だという描写が出てきます。この小説に出てくる捕鯨船はすごく遠回りをして世界の海を航海しているのです。鯨の漁場に向かうので、ひょっとしたら、これらの運河が開通していたとしても、遠回りしているのかもしれませんが…… 

ついでに調べると、飛行機が発明されたのは1903年。鉄道が本格的に敷かれるようになったのは1830年代。『白鯨』が書かれた時代はほぼ船を中心に世界中の物資が行き交っていた、ということです。

他にも、『白鯨』には、北米大陸にあった聞きなれない運河の名前が出てきました。「エリー運河」です。マンハッタンのハドソン川から、ニューヨーク州北部ローチェスターなどを通って、エリー湖につながる運河です。今は、ほんの一部しか残っていません。水路は、物流網であり、情報網でもあって、2020年代の5Gみたいなものだったのかもしれませんね。エリー運河は、セントローレンス川を経由して大西洋と五大湖を結ぶ「セントローレンス海路」が出来たために廃れました。そのあおりを受けて、ニューヨーク州北部の一部は経済が疲弊し、代わりにセントローレンス川沿いと五大湖につながるカナダの町が栄えていったようです。カナダの鉄道網の発達も、水路に関連しているのでしょうからすごいですね。いやあー、『白鯨』からカナダの発展史につながるとはね!

引き続き、心に留まったことをツイッターでつぶやきながら読んでいます。「#モーヴィ・ディック」で検索してみてください。