ムーミン読んでます

北欧の同業者さんから、「この順番で読むといいかも」と教わり、ムーミン全集(9冊)を読んでます。おそるべしムーミン…… 荒唐無稽なムーミン一家の行動のなかから、「自分の好きなことをやって生きるのは幸せですよ」と重大なメッセージが漂ってきます。もっと子どもっぽい話かと思っていたら、夏が短いことを知っている北国独特のもの悲しさが全体ににじんでいて、少し怖さもあります。全集を読みつつ、そのうち、トーベ・ヤンソンの短編集にも手をつけようと思います。

ちなみに、ムーミンキャラクターにたとえるとしたら、私は「ムーミンママ」なのだそうです。自分でも自覚はあるな。

『ムーミン谷の彗星』には、「ニョロニョロたちは、どこかにあるあこがれの地をめざしているけど、どうしてもたどりつけないんだって……」と書かれていました。はじめて知りました。

フィンランドにはムーミンがあっていいなと北欧の同業者にもらしたら、「カナダには赤毛のアンがあっていいじゃないですか!」と反論されました。でも、赤毛のアンの最大の弱点は、原作にイラストがないため、いろんな絵柄の赤毛のアンが存在することです。つまり、キャラクターグッズになれない。「赤毛で三つ編み、そばかす」を盛り込んでおけばいいわけではなく、うっかりするとウェンディーズ(ファーストフードの)のロゴになりかねません。

St Lawrence Seaway

セントローレンス海路というのを皆さんはご存知ですか? カナダ東部の大西洋、ニューファンドランド島からセントローレンス川を通ってケベック、トロントなどを通過し、五大湖をつなぐ長い海路のことです。「海路」といっても途中からは淡水になるのですが……

水位は五大湖のほうが高いので、スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖の水が、ナイアガラの滝からオンタリオ湖に流れ落ち、セントローレンス川を流れて大西洋に注ぎ込みます。ですから、途中いくつもの運河や水門があります。

この海路の完成は1959年で、モントリオール、トロント、デトロイト、クリーブランド、シカゴをつなぐ物流網を形成しました。しかし、だんたんとコンテナやコンテナ船が大きくなり、運河や水門を通れなくなり、廃れていったのです。

ところが、このコロナ禍で、巨大コンテナ船がカリフォルニア州のロサンゼルス港に荷下ろしができなくなり、物流が滞りはじめると、このセントローレンス海路が見直されるようになりました。

小さめのコンテナ船に貨物を積み替えなければならないのでコストが高くつくのですが、それでもロサンゼルス港で船が待ちぼうけを食らうよりは、こちらのほうがよいのだそうです。ただし、カナダからどんどんとアメリカに物資を運び込めるわけではなく、アメリカの国土安全保障省が全貨物をスキャンしなければなりません。そのスキャナーは、オハイオ州のクリーブランドにあるのだそうです。

セントローレンス海路は、17世紀半ば、モントリオールにラシン運河が建設されたことを起点にしていて、300年の歴史があります。その後、ケベックのフランス領がイギリスの支配下に置かれ、18世紀になるとイギリス軍の工兵たちの手によってモントリオール周辺の運河が整えられていきます。19世紀、英米戦争に決着がついてからは、さらにイギリスによって工事が進みます。ようやくアメリカとカナダの共同開発が行なわれるのが決まったのは、1909年のこと。2つの世界大戦や大恐慌の間は工事が進まず、第二次世界大戦後、一気に海路の開発は進んで、1959年に完成となりました。

カナダ植民地時代の歴史を反映して作られた海路ですから、先住民の土地を奪ったり、フランス、イギリス、アメリカが海路を抑えるために戦ったりと、黒い歴史を抱えているのですが、今は物流網としてだけでなく、ここをヨットで優雅に旅する人々もたくさんいます。この海路の歴史を綴った本はいくつか出ていますし、この海路沿いに発展した小さな町を訪ね歩くなんて旅行もいいかもしれませんね。

これは note に書いた記事の再録です。

She-Kaku vol. 1 『クリスマスの伝言』発売中

She-Kakuの記念すべき第1号が日本で発売されています。こちらのサイトから購入いただけます。

https://kivisoap.stores.jp/items/618c60cb1bfe1924973837bb

姪がこのkivi soapという石けんを作っていて、そのサイトに間借りさせてもらってます。日本では彼女のクリスマス石けんとセットしても販売します。

数はたくさん用意できないようなので、イベントで売り切れてしまうかもしれません。冊子を単体でお買い上げいただく分には問題ないです。

他にも、三重県内のカフェなどに置いてもらっています。

こちら以外にももう一件、近々……

日本では三重県内でのみ、直接手に取ってもうらうことができます。「うちのお店に置いてもいいよ」なんて思ってくださったら、ツイッターのDMでご連絡ください(https://twitter.com/kaku_she)。

ネットでの購入をお考えの人は、「中身をもっと知りたい」ですよね。表紙裏はこんな感じ。なるべくいろんな年齢の人が読めるよう、漢字は少なめ。それでも、外国文化を知ったり、人の名前を覚えたりするチャレンジはあるので、楽しいと思います。表紙を入れて32ページしかないので、ちょっと厚めのクリスマスカードにもなります。手作りのクッキーに添えるのも、いいかも。

etsyショップにも出すつもりなのですが、コロナ禍のせいで日本から荷物の到着が遅れてます。

She-Kaku:四角い冊子

このたび、グラフィックデザイナーの友人とユニットを組んで、CDサイズの冊子を作りました。すごく楽しかったので、今後も続けていくつもりです。

冊子は真四角なので、私たちのユニット名は「She-Kaku」。「She」は女二人でやっていて、ひとりが文章担当(書く)、もうひとりがイラスト担当(描く)だからです。

基本、著作権切れの作品を翻訳して、それに絵を付ける方向で行こうと思います。でも、コンセプトから離れることもありそうです。ツイッターでときどきつぶやいているので、のぞいてみてください。https://twitter.com/kaku_she

今回は『赤毛のアン』の作者ルーシー・モード・モンゴメリが『赤毛のアン』を発表する以前に書いた短編を訳しました。クリスマスの話です。『クリスマスの伝言』とタイトルを付けました。逐語訳ではないけれど、原文のスピリットは伝えてるっていう訳です。

この短編は本当に短いのに、登場人物がめちゃくちゃ多いんです! なのに、各登場人物の性格や雰囲気がぱっと想像できてしまう。モンゴメリ、すごい!と思いました。いろんな「すれ違い」が起きるのですが、最後にほっこりする話です。

She-Kakuのふたりは、この冊子を作っているあいだ、ネットフリックスで『アンという名の少女』を見て研究しました。アンの生活にはいろんなお菓子が登場します。この『クリスマスの伝言』もそうです。文章では伝えきれない、カナダの古いお菓子の数々をオリジナルのイラストで楽しんでもらえればうれしいです。もちろん、表紙や表紙裏もオリジナル。水彩画っぽい絵なので、紙は画用紙っぽい、やさしい感じのものを選びました。イラストやデザインのことは、私にはまったくわからないので、ユニットを組んでほんとによかったと思いました。

この冊子は小さいので、厚めのクリスマスカードにもなります。小説なんて普段読まない人でも読める長さだし、「人の心」を大切にするお話なので、贈り物にぴったり!

日本では、とてもすてきな手作り石けんとセット、あるいは単体で販売します。カナダにお住いの方もご連絡いただければ用意はできるかな。

この冊子を自分のお店に置きたい!なんて方がいらっしゃれば、ツイッターのDMからご連絡ください。お待ちしております。https://twitter.com/kaku_she

「カナダを伝える会」

1カ月ほど前にカナダにゆかりのある翻訳者さんを募集して、何人か集まり、7月10日から Note にてカナダの書籍や作家、文化についてメンバーがぼちぼちと発信しています。メンバーも多様です。

先日ユーチューブライブに出演したとき、「カナダ文学の魅力は?」と訊かれたのですが「まだ自分でもよくわからない」と言ってしまいました。そもそもわからないから知りたいという欲求がある。カナダ文学にうっすらと感じていることはあるのですが、まだ読書量が足りないので思いつきで発言をするのもな……とも思ったのでした。

「カナダを伝える会」をやろうと思ったとき、何が「カナダっぽいのか」は一人の人間が説明するより、複数の人が「これがカナダっぽい」と発言したほうが面白いのではと考えました。そのほうが複眼的なので、読者側も情報を押し付けられているというよりは、「そうかもね~」と気軽に感じたり(あるいは「それは違う」とか)、「へえ、カナダにはそういうものがあるのか」と思ったり、自由に取捨選択できていいんじゃないかと思います。

カナダに「カナダ語」なるものが存在するわけではなく、カナダ人は英語かフランス語で書いて世に出しているので、第三者が「この人、カナダ人作家だよ」と言わないことにはカナダ作品であることがわかりにくい。SF小説に非常に詳しい人に、「SF小説が盛んなところはどこですか?」と尋ねたら、2番目にカナダが挙がったので、今、カナダのSFに詳しい人いないかな…… と探しています。あとは、アメリカにはアメリカ南部の独特の小説があるように、カナダにもオンタリオ南部の作家の作品群があります。そういうものも、うまく紹介していきたい。

日本でもそうですよね。小説は標準的な日本語で書かれるけれど、小説に地方色はある。

というわけで、Note を時々のぞいてみてください。ツイッターでもつぶやいています(@writersoncanada)。目印はピンクのビーバーです。それから、「やってみたい!」という人がいたら連絡ください。難しいことなど書かなくたっていいんです、自分の言葉で語りたい人なら是非!