中年の白人女性で、空港などで長蛇の列に並ばされているときに、自分はもっといい扱いを受けて当然だと言わんばかりに、怒りに任せて暴言を吐きまくる人を、英語で「カレン」と呼びます。定義には、ある種の外見も含まれているようですが、ま、それはさておき。
確かに、私が実際に見かけた中では、白人女性が多いような気がします。でも、空港はそもそもストレスを強く感じる場所。誰もが質の悪いクレーマーになり下がる可能性はありますよね。
私は荷物チェックをするところで、大家族で移動している人々に超いらついてしまって、さりげなく、彼らの機内持ち込み用の荷物を蹴ったことがあります。ところが、超高級品だったせいか、キャスターの滑りがよく、コロコロ~~~~っと勢いよく転がってしまい、自分で蹴っておきながら、また拾いに行きました。ついでに、監視カメラに自分の愚行が映ったのではないかと、きょろきょろしました。一応、私も加害者「カレン」になったことがあるんですねぇ。
カレンの犠牲者になったこともあります。空港の自動発券機でカレンに圧をかけられたのです。そのカレンは「どの自動発券機を使っても壊れてる!」と怒っていました。いきなり、ピ、ポ、パ、と難なく操作している私のところにやってきて、「壊れてるでしょ?」と言うのです。
「私のは壊れてませんけど」
としらっと返事したら、キーーっと怒って暴言を吐きながら去っていきました。普通なら、私の後ろに並んで「わたしもその機械を使おう!」と考えるのでは??と思いました。そのカレンの後ろ姿を目で追いましたが、背中に背負った小さめのバックパックのファスナーが全開。中のものがぽろぽろと落ちている。いつもなら、「カバンが空いてますよ!」と絶対言いますが、放っておくことにしました。
後日、白人の友人にこの話をしたら、「どうしてカバンが開いてること、教えてあげなかったの?」とやや批判気味に言われたので、むっとして「だって、向こうが無礼だったから」と答えました。でもその答えが、狭量な自分を表しているようで不当に感じました。当時は「カレン」という言葉はまだなかったはず。あるいは、あっても知らなかった。
「だって、あいつはカレンだったから」
と言えたら、友だちも「だよねー」で納得し、笑ってくれたはず。造語の大切さを知りました。
私は今、これから楽しい食事のひとときを過ごそうとしているときに、食通すぎて人のレストランや食事の選択を批判する無礼者に、「カレン」のような名前を付けたいです。皿が並ぶだけに「サラ」とか? でも女性に限ったことではないので、何がいいかなぁ。
でも、今はコロナ禍のせいで、人が逆上しやすいので、気を付けなければ!