Cobra Kai (Season 3)

新年早々からコブラ会見てました。シーズンフィナーレには必ず「ボコボコの乱闘シーン」が来るのですね。

今シーズンは中年の大人たちの「自己実現の欲求」に付き合わされて、そこが面倒くさく感じた分、高校生たちの悩みがより一層ピュアで、真剣そのもののように思えました。彼らの悩みというのは自分で選んだわけではない、むしろ親から与えられた試練のようなものなので…… でも、高校生に正しいSNSの使い方をいい年した大人が教わっている場面など、ほのぼのとするところもあったりします。

私にとって『コブラ会』の面白いところは、若い時は貧しくて純粋だったダニエルが成功者となったがために、財力をふりまわしていることに本人がまったく気づいていない点です。今回も、リッチなミヤギ道場が、またまた金に物を言わせてコブラ会つぶしにかかっていました。一応、ミヤギ道場は「善」を重んじる道場なので、何をしても許されるような感じで描かれているし、そういうことに関しては「悪」のほうがまともなのですね。だから「悪」のほうはミヤギ道場を「ボコボコにしたくなる」のでしょう。

オリジナル映画に出ていた俳優たちの同窓会のノリも、それはそれで楽しかったです。エリザベス・シューは『リービング・ラスベガス』の頃を思い出して、「へぇ……」と思ってしまったんですけどね。

Cobra Kai

『コブラ会』をあちこちから勧められた。極めつけは、マーク・マロン(アメリカのコメディアン)。彼のポッドキャストを聞いていたら「シーズン2まで全部一気に見てしもうた」と言っていたので、私も観てしもた。余談だけど、マーク・マロンは、痛い目に遭ったことがあるので、映画や本の話をするなら、絶対に自分で見て/読んでからでないと話さないというポリシーを持っている(本人談)。

まだ全話見切ってはいないけど、すごく面白い。シーズン3もあるらしい。この間まで、字幕で韓流ドラマ見たり、1話が複雑で長い『Better Call Saul』を見ていたので、「ながら作業で楽しめる」のもうれしい。オリジナルの映画を見てからのほうが断然楽しめるけど、私は、ドンピシャの世代なので、大昔に見た記憶をたどりながら楽しんだ。

『コブラ会』の何が面白いかというと、何と言っても、アイデンティティ・ポリティクスから距離を置いているところ。「よし、お前は弱者なのだな! 戦え! 容赦はするな!」と教える。その後は、善悪の間をずっとうろうろしているのだけれども。

あと、『ベスト・キッド』にいた、ミスター・ミヤギの不在。というか、「そういうすばらしい人が昔いた」という雲の上の存在になっているところ。すべてが見通せる仙人は『コブラ会』にはいない。空手を教える先生もみーんな「人生模索中」。ただし、『ベスト・キッド』の主役だったダニエルは、空手チャンピオンになって以来、そのまま「勝者路線」をつっぱしってきているので、「おれは間違ってない」と一番思い込みが激しい。なんなら、「すべては金と権力で解決!」「後輩は指導してやりたい!」とすぐ思ってしまうから、一番めんどうな大人になっているとも言える。そこが笑える。

オリジナルの映画と唯一変わってないのが、カリフォルニア風に咀嚼されて、なんだそれ?な日本文化。それも笑える。ダニエルが作ってる盆栽など。いや、あれは盆栽ではない。「ボンザーイ」という別の園芸なのだ。『ベスト・キッド』のときは、ミスター・ミヤギに遠慮して堂々とは笑えなかった。今はぎゃはぎゃは笑える。

今月はこれで乗り切るぞ!