Year of the Dragon

「なんて美しい顔……」と私がため息をついたはじめての人はジョン・ローンです。作品数も少ないし、いつの間にか映画界から消えていったので、年老いた彼の姿を見ることもなく、あの美しさは神格化されています。「謎に包まれた芸能人」でしたよね。

久しぶりに『Year of the Dragon』を見ました。1980年代のニューヨークの中華街が舞台になっているので、今見ると何かとひっかかりを感じるかもしれないと思いましたが、そうでもありませんでした。今だったらアウトになるアジア人に向けた差別用語がじゃんじゃん出てきますが。

今さら驚いたこと/印象深かったこと

1)痩せたミッキー・ルークと、彼が体現しているベトナム帰りの男(何かと見失っている)

2)アメリカ側はミッキー・ルークのような個人であるのに対し、チャイナタウンは「家族(のようなつながり)、1000年の歴史、勤労、集団」で対抗

3)ミッキー・ルークが「何かにつけ“1000年の歴史”っていうお前らはウザい!」と暴言を吐くところ。

4)アメリカにおいて、チャイナタウン(異質な文化のはびこる場所)は結局、触らないほうがよいと帰結するところ。

5)最後の決闘シーン。ジョン・ローンが自らの手で死ぬところ(恥の文化)。その場にいたミッキー・ルークが気持ちを汲んで、銃を貸してやるところ。多分、現代の映画だと、せっかく銃を貸してやったミッキー・ルークがやられて、二人とも死ぬと思う。

6)旧態依然としたチャイナタウンの伝統を変えようとしていたはずのジョン・ローンが死んでも、チャイナタウンはまた翌日から活気にあふれ、何事もなかったかのように日常が始まること。

7)準主人公級の中国系アメリカ人、トレイシー役は、日系アメリカ人が演じていること。彼女のファッション、髪型、メーク、住んでいるアパートと、すべてがいかにも1980年代なこと。

8)トレイシーのアパートはブルックリン(?)にあるらしく、ワールドトレードセンターのツインタワーが見えていること。

9)エンディングに流れる中国の演歌