
巣ごもり中に、三島由紀夫の本をとりあえず4冊読みました。『潮騒』と戯曲を除き、ナルシストの三島由紀夫が書いたナルシストな小説は、巣ごもり中にはキツかったです。「そんなこと、どうでもええやろ!」とページを飛ばしてしまいたくなるのです。昔読んだときはそうは思わず、むしろ感化されていたので、「読みごろ」ではなかったのかも。『潮騒』にある三島由紀夫の海の描写がすばらしく、何回読んでも飽きない。あの海を知っているからかも。
面白かったのは、このロシアの小説。『むずかしい年ごろ』というタイトルがもうすばらしく(「むずかしい」が平仮名にしてあるところとか)、遠方の友人がこの本をブックインスタしていたのを見て、私も買ってしまったというわけです。
アンナ・スタロビネツはロシアでは有名なホラー作家らしいです。私はモスクワの空港にしか行ったことないくせに、「ロシアっぽい!」と感動してしまいました。「怖さ」は、そーですねー、乱暴にたとえるなら、ネットフリックスの『Black Mirror』っぽい怖さですかね。虫も出てくるし。虫が苦手な人は、一番最初の話は読まないほうがいいです。私は髪を掻きむしりながら読みましたから。
一番気に入ったのは、「家族」っていう話。頭が半分にスパッと切れているおじさんが出てきて(頭がお椀の形になっている)、頭の中から、「紫色のマスカット」や「ニンニク添えのチキン」を出すのです。こういう話大好き。
紙の本を買ったので、読みたい人には貸せますよ。