読書会11 – しずくの首飾り

2月の読書会の課題書は、ジョーン・エイキンの『しずくの首飾り』(稲熊葉子訳)。「収録されている話のうち、どれが好き?」というありきたりなふりから、どんどんとダークな方向へ会話が進むのが面白かったです。子どものために書かれた話は人間の闇を引き出しますよね。

ジョーン・エイキンを読むのは初めてだと思っていたのに、どの話も聞いたことがあるような既視感がありました(読んだことを忘れている可能性もある)。どれもすてきで、ちょっと苦みのある話ばかり。表題の「しずくの首飾り」には、少女時代に必ず遭遇する嫉妬心の強い、いけずな女の子が登場します。いえ、誰もがそういう意地悪になる時期があると言ったほうがいいでしょう。

「空のかけらをいれてやいたパイ」は、空飛ぶパイが、途中、いろんな動物を拾っていくお話。最後は巨大な動物が乗り込んで、みんなでにぎやかに飛んでいく。動物どうしだと落とし合いが起きないのも、王道的なシャングリラ。

「三人の旅人たち」は、砂漠の中の駅で働く三人の男の話。駅としての施設は整っているのに、電車がとまらず、誰も乗り降りしないという設定が、「どこか遠くへ行きたい」という気持ちをかき立てます。

「たまごからかえった家」は、バーバ・ヤーガというスラブ民話の魔女が住む家に似ていると、読書会の人たちが言うので、みんなでウィキペディア検索。フィンランドのサーミ人が住んでいた高床式の家にそっくりで、民話はいろんなところへ伝わって少しずつ形を変えていくのだなと実感。

影絵みたいな絵は、ヤン・ピアンコフスキー。

私はさらにジョーン・エイキンの『ルビーの詰まった脚』(三辺律子訳)も読んでみました。こちらは一篇がもう少し長めで、対象年齢が上。『秘密の花園』くらい?? 怪奇要素があって、なかなかよかったです。表紙絵はさかたきよこさん。私、さかたさんが絵を付けたこけし持っててファンです。

みなさん、本にお金をつぎ込んでいるので、最近、「こっちの本のが安いね」と値段で課題書が決まることが多いような(笑)