翻訳者のための書評講座(第3回目)のご案内

3回目も豊崎由美さんを講師にお迎えして開催します。

日時:12月3日(土)日本時間13:00開始

場所:Zoom(録画します)

所要時間:2時間(このあと懇親会が続きます)

受講費:1500円

人数:30名まで(うち先着12名の書評または訳者解説を講評&合評。残りの18名は採点と合評からの参加)

先着12名の枠は、残りわずかとなりました。書評を書くところからのフル参加ご希望の方は、お早めにお申し込みください。また、採点と合評から参加する約15名も募集しています(もちろん個人的に書評を書いていただいてもかまいませんが、当日講評と合評はされません。グループのnoteでの発表はできます!)

申し込み方法:knsbookclub@kyokonitta またはツイッターの @kyonittaにDMをお送りください。

課題書:

喜べ、幸いなる魂よ(佐藤亜紀、角川書店)

フランキスシュタイン(ジャネット・ウィンターソン著、木原善彦訳、河出書房新社)

・自由選択(海外文学で邦訳が出ているものなら、文字通り何でも)

以上のうちどれを選んでいただいても結構です。2冊選んで書評を書いていただいてもかまいません。

「書評」を書く方は800〜1600字。「訳者解説」のつもりで書いた方は1600〜3200字。自分がどちらにしたか明記してください。また、「書評」を選択した人はどういう媒体に載せるつもりで書いたか、最後に(想定媒体=○○××)と付記してください。字数は厳守です(タイトルは数えない)。

流れ:作品を読んで書評提出 → 採点 → 講評 → 合評 → 懇親会

提出方法:ワードファイルで作成(縦横お好きなように、フォントやサイズは適当)。無記名でお願いします。

提出日:11月13日(日)(海外在住者は、ご自分のタイムゾーンの11月13日で)。knsbookclub@gmail.com宛に送ってください。
提出作品をこちらでまとめます。11月20日(日)までに12点の書評の採点をお願いします。申し込みをしていただいたときに、この「採点」の説明をします。

また、いったんお支払いいただいた受講料は、受講者の都合でキャンセルした場合、お戻しすることができません。講座は録画しますので、その録画をご覧いただくことになります。

講座のあとで書き直しを発表する場を note に用意しています。こちらは自由参加です。

【余談:ロゴの由来】なぜ鍋なのか?

書評講座初期メンバーで note のグループ名を考えました。海外文学と一口にいっても、いろいろな国の文学作品があり、内容も実に多様。講師の豊崎さんに「書評を書くにあたり、いろんな視点があっていいんですよ」と教わったのもあって、書評鍋、海外文学鍋など、鍋系の名前がたくさん候補にあがりました。投票の結果、BOOKPOT (ブックポット)に決定。メンバーのおひとりに上のロゴを作ってもらいました。

というわけで、豊崎さんの講評のあと、互いのアプローチの違いを尊重しつつ、活発な合評が繰り広げられますので、みなさんお楽しみに!

読書会6 – 喜べ、幸いなる魂よ

今回もYAを離れ、佐藤亜紀の『喜べ、幸いなる魂よ』を読んだ。非常に面白く、読書会で語り合い甲斐のある作品だった。

川本直がすごい書評を書いているから、詳しくはそれを読んでいただくとして。

川本さんはヤネケをすごく肯定してる。その理由にはもちろん100%同意するけど、読書会では少し違った。「ヤネケは超人的な能力を発揮し、他人にはまねのできない博愛もあるけれど、他人の心を思いやることができないないから、もしかするとその背景には??」と、ここにははっきりと書けない疑惑が浮上。

ヤネケは知的能力に優れた女性の理想郷にいる。そのヤネケが確率論について本を書く。確率論上、ばらつきがあっても、長い時間を経て、ある平均に収束する。でもその「ばらつき」こそが変化をもたらす。この論理は男女にも当てはめられている。ヤネケは「とんでもなくばらついている個体」。

そこに宗教がからめられ、オスのいない世界としてベギン会が描かれている。ベギン会とは、修道女ほど俗世と断絶していなくて、俗世にもそこそこにつながりつつ、神に仕え、宗教的な生活を営む女性たちの共同社会のこと。そして、ヤネケの実家である商家が「娑婆組」として、普通に結婚や出産を繰り返して種を絶やさずに存在し、その周縁に同性愛者(この小説では、男が男を好む人々が何人か登場)がいる。メスしかいない世界の対極には、男だけの世界がある。

読書会では、この中間にいる人物たちについても、時間をとって話した。誰に一番共感できるとか、共感しないけど、理解ができるとか。読書会で言うのを忘れたけど、私は個人的にベギン会が女子大みたいだと思った(女子大出身なので)。

読書会のメンバーは全員翻訳をやっているので、『喜べ、幸いなる魂よ』の会話、特にヤネケとヤンの口調が現代的で、ずーっと年をとっても同じ口調で話していることにも言及。翻訳者は小説家とは違うから、「原書」をリスペクトすることがとても大切。でもそれは訳すときの制約にもなる。この小説は舞台が海外で、限りなく翻訳文学に近いけど、佐藤亜紀が書いたものだから全然違う。それはヤネケの口調に端的に現れている。たとえ翻訳者が相当な勇気を出してああいう会話文を作り上げても、編集の段階で揉めると思う。小説の場合でも、揉めるのだろうか??

この小説はとにかく面白かった。絶対に読書会向き。みんなと話して倍以上楽しめた。

似たような作品で、大島真寿美の『ピエタ』も名前が挙がったので、読んでみようかな。