YA翻訳の勉強会

最近、YA書の翻訳の勉強会に入れてもらいました。別にYAを翻訳する案件はないのですが、仕事ではかたい訳文を作ることが多いので、ちょっとやわらかな訳文を作る練習をしようと思い立ちました。意識の高い社会人やクリエイティブ系の大人が読むようなノンフィクションと、中高生が読む本とでは、単語選びも、漢字の開き方も、全然違う。というか、おそらく「海外文学はこれがはじめてです」みたいな読者層に向けた文章の書き方を勉強してるわけです。

ああ、いろいろ勉強になる……。日本語ムズカシイ。

最近、アメリカのラジオ番組で、アメリカ人夫婦に養子縁組されたあと、パキスタンにいる生みの親を訪ねたところ、アメリカに帰してもらえなくなった女性の話を聞きました。

その女性(当時は女の子)は、1990年代にパキスタンからアメリカに帰してもらえなくなり、生みの親に「アメリカナイズされすぎているから再教育する」と言われ、軟禁されてしまいます。「女は本など読んではいけない」とも言われ本も読めなかった。そこで、こっそりなんとか入手したのが『若草物語』だったのです。人がいない時を見計らって、この小説を何度も何度も、丸暗記してしまうほど読んだのだそうです。

紆余曲折を経て、彼女はやっとアメリカに戻ったのですが、その頃には英語も自由に話せなくなっていて、パキスタン流の女性の生き方が身に沁みついていました。逆カルチャーショックを味わい、自分はどう生きていけばよいのかわからなくなったとき、『若草物語』を開いては、あの四人姉妹の生き方(特にジョーの生き方)を参考にしていたそうです。1868年のアメリカ女性の生き方と、1990年代のパキスタン女性の生き方に、わりと共通点があったから参考になったと言っていました。

YAってそういうところあるよな、とラジオを聞いていて思いました。私も『若草物語』のジョーとか、『赤毛のアン』のアンとか、少女漫画の主人公とかを自分に重ねて考えていました(女の子が逆境を克服する話に共感していた)。

話はずれますが、1950年代のニューヨークの広告業界を舞台にした『マッドメン』にはまっていたときも、「職場における男女の位置づけやセクハラの感じが、1990年代の日本と同じくらいなのかな」と思いながら見ていました。私が一番共感できたのは、もちろん「ペギー・オルソン」です。

Little Women

2019版の『若草物語』を見てきました。#MeToo要素がすごく盛り込まれているのかと心配していましたが、配役で回避してありました。うれしい驚きはティモシー・シャラメでした。

一緒に行ったのが白黒映画の仲間たち(しかも高齢)だったので、私はウィノナ・ライダー版の若草物語の話をしたかったのに、キャサリン・ヘップバーン版とかエリザベス・テイラー版の話をされてしまいました。が、歴代の若草物語の映画の中でも、2019版がいいとふたりとも言っていた。

2019版は四人姉妹が全員アメリカ人女優ではないし、途中フランスのシーンもあるしで、「いったいどこの国の話なのだろう、あ、アメリカだった、そうだよ、アメリカに決まってるじゃないか!」と思い直さずにはいられなくなりました。

これを見るまで『Marriage Story』が私の中の一番だったけど、『Little Women』に入れ替わりました(夫婦で争ってるかんじ)。