9&10月を一緒にした読書会の課題書は、2冊。『ぼくが死んだ日』と『魔法にかけられたエラ』でした。どちらも三辺律子さんの訳で、三辺さんの訳書で一度読書会をしてみたいね、と意見がまとまったからでした。
『魔法にかけられたエラ』は、アン・ハサウェイ主役で映画化もされているので知っている人も多いかもしれません。主人公が想像上の国の言葉に長けている設定なので、これ翻訳にすごく工夫が必要だっただろうな!とみんなでしきりと感心してました。翻訳 in 翻訳ですよね!
英語の原作が出たのは1997年(?)なせいか、シンデレラの話がベースになっているからのか、結婚が「あがり」なので、今読むと、そこが気にはなりますが。とはいえ、エラにかけられた魔法は、彼女から自由意志をかなり奪い、それを取り戻す話なので、ガールズ・エンパワーメントな話です。
Netflix でやっている「Sex Education」の主人公級の女の子(メイヴのこと)が選ぶ人生はちょっと違う。2023年の女の子のエンパワーメントってこうなんだな、と。エンパワーメントって、個人の内なる力と、自分を認めてくれる外からの救いの手が同時に起きないと難しいですよね。「Sex Education」が秀逸なのは、本来「自分を認めてくれて、手を差し伸べてくれるはずの大人たち」がほぼ全滅してる点かなと私は思います。
と話がずれましたが、どこかで、若い読者はパステルカラーの表紙を好むと聞きました。『魔法にかけられたエラ』はまさにですね!
私の個人的な好みは、『ぼくが死んだ日』でした。普通、怪談といえば、キャンプファイヤーを囲んで、生きている子たちが怖い話をして盛り上がりますが、これは「死んでる子」たちが墓場で集まり、自分がどうして死んだのかを順番に話してます。最初、「あれ、そういう話なの?」と気づいてから、加速的に変な話が続くので、大人で怪奇小説好きな人は、「お!これはあの作品をなぞってる??」みたいな発見の楽しみのある本です。残念ながら、私にはそこまでの知識はなかったのですが、それでも楽しめましたよ!
19世紀に死んだ子や、わりと最近死んだ子もいて、「どの話が一番気に入った??」と盛り上がれる、読書会向きの作品でした。
表紙絵も、大好きなさかたきよこさん作です。もう何回も人にいいふらかしていますが、私はさかたきよこさんが絵付したライオンのこけし、「コケジジ」を持っています。すごく自慢!
