「今週の日記」では普通すぎるので、「Y(ワイ=私)」日記と呼ぶことにする。くだらないダジャレ。
『オリンピア』を読み終えた。胸が締めつけられたね、いろんなところで。トロントよりもモントリオールのほうが栄えていた時代からはじまるから、トロント近郊の描写が牧歌的。今はもうそんな雰囲気はない。それもあって、少し寂しかった。静かなのにぐっとくる話だった。オンタリオ州のこのあたりに住んだことのある人全員におすすめしたい。インスタでは既におすすめした。
この小説で、「ああ、そうだよね……」と思ったのが、時代によってどこから移民が来るのかが違うということと、家庭内での母語と訛りの抜けない英語の切り替え。この小説は、ドイツ系カナダ人の家族が描かれているので、第二次世界大戦がはじまるころのドイツ社会がこの家族に影を落としている。
今カナダは移民を受け入れすぎた結果の人口増に悩まされている。高学歴で英語と仏語が話せると有利になるポイント制の移民政策をとっているため、工事現場、農業などで深刻な人材不足が起きているのに、必要な労働力を賄えていない。そういうわけで、留学生の受け入れに制限がかかっている。移民政策とはなんぞや、とカナダにいる誰もが考え込んでいる気がする。
映画『関心領域』をやっと見た。建造物とその配置が重要な映画。壁も建物も四角い。見たいものだけを見て生きることができてしまう「今」な話でもあるよね、と思った。
仕事で第一次世界大戦がはじまる頃から第二次世界大戦がはじまるまでの歴史を調べているうちに、どうしても見たくなり、『ラスト・エンペラー』を久しぶりに見直した。1987年の映画! ジョン・ローンは弁髪姿でもボロボロの姿でも美しく、根っこを生やすところがまるでない最後の皇帝にぴったりだなとあらためて思った。ラストシーンの「浦島太郎の玉手箱」感のある消え方も好き。
アップルペンのそっくりさんタッチペン購入。すぐ物をなくす私としては、アップルペンやAirPodsのようなものにはなかなか手が出せない。が、背に腹は変えられない。家人の本物ペンと比べたけど、「安っぽいプラスチック」であること以外、変わらないと思う。ちなみに家人は既に2本紛失していて、現在3本目。「おらのペンは27ドルだぞ!」と威張り散らしてやった。
ポッドキャスト「Talk Easy」で、詩人ルピ・クーアの回を聴く。来年30歳になるらしい。まだ30歳になってない!? 年齢差もあると思うけど、最初彼女の詩を読んでも「ふ〜ん」だったのが、若くして大成功して、いろんなプレッシャーに耐えて、という話をしているのを聞いてちょっと好きになった。結構男尊女卑なパンジャビ文化を跳ね返しつつも両親を受け入れるこの強さ、このレジリエンス。一度、彼女のパフォーマンスを生で見てみたい。
ようやく『SHOGUN』を見はじめた。まだ1話。う〜ん、どうなんだろう。でも見続ける。
ハン・ガンの『別れを告げない』の訳者あとがきを読み、歴史情報の消化でいっぱいになった。本文は来週から読むことにする。今週は、ゲラチェックのせいで気持ちにやや余裕がない。
お口直し的に『夏のサンタクロース』を読んで、ほんわかする。
