親戚の小一男子は今、ランボルギーニの中でも1億円近い車種を手に入れたい。そして、その車種に関していろいろ知りたいがために、音声検索で情報を集め、他車種との比較表も作っている。聞いても的外れな答えしか返ってこないときは、深い溜息をつき、いらつきを隠さない。音声入力というのは、まだ文字入力検索が難しい年齢に役立っているのだと知った。
叔母であるわたしは小一男子の夢を叶えるお手伝いをしたい。そのつもりで千円のお小遣いをあげたら、うれしそうな顔をしなかった。桁が足りない、ということらしい。どうやら、小一ながら100000000分の1000という絶望感に圧倒されるくらいに分数が理解できている。毎年1000円のお年玉を貯めると100000年かかる。10000円もらっても10000年かかる。
しかし、当然のことながら、礼を言うより先に不満を口にしたことを親に咎められていた。
この気の遠くなるような道のりを、大人になっても突っ走ってほしい。叔母さんはたぶん、東京にあるランボルギーニのショールームに連れていくくらいなら協力できる。がんばれば、イタリアにあるランボルギーニの工場見学に連れっていってあげられるかもしれない(私も行きたいから)。
この途方もない感じのこと(しかも他人にとってはどうでもいいようなこと)を目指して闘志を燃やすアニマルスピリッツは血なのだろうか。
わたしも今、スイカゲームに燃えている。
