Author: Kyoko Nitta

小5のはなちゃんとの交換日記はLINEでやっている。公開することは了承してもらっているとはいえ、絵日記と比べると、「LINEをさらしている」感はある。だけど、これは交換日記なのだ。

はなちゃんは夏休み前半、一人でおばあちゃんちに3日間泊まっていた。夜な夜なおしゃべりに花を咲かせ、おばあちゃんの話し相手として過不足なかったらしい。そうとはしらず私は、ほかのちびっこに話しかけるノリで、はなちゃんに日記を書いていた。たとえば、こんなかんじで……

やや反省。とはいえ、私は普段からどうでもよいことばかり話している。この間もそうだった。一人でエレベーターに乗ったと思ったら、実は中に、子犬を抱いた小さなおばあさんがいた。あまりの小ささにすぐに視界に入ってこなかった。「うわぁ！」と驚いてしまった。失礼にもほどがある。驚く私を見て、おばあさんはどうにかせねばと思ったのか、こちらをじっと見つめ、一言、「ハロー」と声を発した。密室空間って、こういうとき困る。私は笑ってしまったのだった。我慢しきれなかった。本当に失礼だった。その後しばらくは、会う人会う人に、「こういう状況のとき、あなたならどうする？　笑いを我慢できる？」と聞きまくっていた。

とうとうタブレットを買ってもらって、Duolingoデビューしたのか。私も昔Duolingoで仏語をやったけど、猿真似の域を出なかったので、ここ数年はBoldVoiceという発音アプリに課金して「ハリウッド」に特化した発音の習得をやっている。はなちゃんにやらせたら、なかなか上手にこなしていた。

……とここまでは普通の交換日記だった。ところが突然、こんな大人びた日記が送られてきた。

驚くと同時に、本好きになってくれていることがとてもうれしい。読書の本質を見抜いているよね。外見や表紙から、その人や本が持っている何かがうかがえるけれど、その人や本がどんなストーリーを持っているのかは、その人を知ったり、本を読んだりしないとわからない。だから、人も本も好き……

えらいぞ、はなちゃん！　交換日記をやってよかった。

小5との日記はもはや大人との会話に近い。まだ経済的に自立していないだけで、日々考えていることは私と変わらない。私の思考が小5レベルなだけかもしれないが。

おしゃべりに夢中って、何をしゃべってるんだろう？　面白いYouTubeチャンネルの情報交換とか？？　この間、はなちゃんの好きな番組をいくつか一緒に見たけど、どれも「よかれと思ってやったことがあだになって、草w」みたいなノリで、「ああ、そこに共感を求めるのか。私とたいして変わらないな」と思った。

最近、「新情報は30秒後には忘れる」70代男性とピックルボールをして、スコアを毎回訊かれるわ、同じジョークに2時間付き合わされるわで大変だった。本人の前では笑顔で対応してたけど、疲れたさ！　あとでこの苦労に共感してもらいたくて、ピックルボール仲間にしゃべりまくった。

小学生のおしゃべりの原動力も、苦労話のシェアなのかな？？　親の悪口とか？

別に、私自身が死にそうなくらいに退屈したわけではない。死にたくなるほど逃避したくなることはあっても。

世間一般の話として、最近の小学生は忙しいとよく聞くから、小5に訊いてみたくなっただけ。この返事だと、それなりに、暇を持て余す時間があるってことなのかな？？

7歳児のランボルギーニについての日記が途絶えた。ちびっこは忙しい夏休みを過ごしているのだろう。そこで、11歳女子（はなちゃん）と交換日記をすることにする。

はなちゃんが生まれてまもなく、私は東京の大岡山に3か月滞在していたので、一緒に過ごした時間は他のちびっこたちより長い。だから仲がいい。ただし、オバとして敬われていないどころか、バカにされている。先月、日本に帰ったときも、「きょうこちゃんのおごりね！」と有無を言わさずおしゃれカフェに連れていかれた。「カフェめぐり」がちょっぴり背伸びな遊びらしい。お茶とケーキで、小5の恋バナや見た映画のこと、将来の夢を話したりした。

柴犬が、大好きだよ！そしてね、最近、近所に住んでいるおばさんが、柴犬を4匹も飼っていて、一緒に遊んでくれるんだ！滑り台を一緒に滑ったり、ベンチに寝っ転がるし、そこがめちゃくちゃ可愛いの!しかも私が一番好きなのはブランコなんだ！子ども用のブランコがあってね、そこに柴犬の赤ちゃんが乗っててね可愛すぎるの!

かわゆい。柴犬じゃなくて、姪っ子が。

あと、5歳児と7歳児と交換日記をしていたので、文章力を新鮮に感じた。

私が11歳だったとき、果たして、近所のおばさんとそのおばさんが飼ってる犬と遊んだりしただろうか？　人見知りだったから。

柴犬４匹も!! かわいすぎる。私もよく公園に行くよ。ピックルボールっていうスポーツしてるの。知ってる? ４人でプレイするから、お友だちが増えちゃったよ。今はピックルボールが流行ってるから、みんなにしょっちゅう会えるけど、流行らなくなったら、会えなくなるんだと思うとさみしくなる。って、昨日もみんなに会ったところだけどね!
夏休み何してるの?　
タブレットどうなった?

はなちゃんに面と向かって、「（ピックルボールが）流行らなくなったら、会えなくなるんだと思うとさみしくなる」と言おうものなら、「そんな先のことを心配しなくていいでしょ！」と叱られるはずだけど、交換日記ではスルーされた。

タブレットはこの間、「5年生になったときのお祝いもらってないよ！」とおねだりされたのだった。「普通に進級しただけやん！」と要求をはねつけたものの、まあ、お古のiPADをあげてもいいかなとか、いろいろ気になった……

はなちゃんは読書家で、訊けば、わりとおもしろい感想を述べてくれる。豊﨑由美さんのエッセイ『どうかしてました』を読んだ感想も「本を手放して心が痛んだのに、また違う本を手に取って、また本を読むのかーい！」と辛口だった。ちょっぴり難しめの本を送っても、「むず〜い！」と言って読んでいる。読んだ本の感想を聞きたいけど、うざいオバサンと思われて返事が途絶えると困るから、もう少し待つ。

7歳児はどうも高級志向＆貯蓄型のようである。アヴェンタドールに乗りたくて、貯金に励んでいると聞き及んでいたが、27万円とは！！

今年のお正月にお年玉に1000円渡したら、やや不満げな顔をしていたのも、1000円では全然足りないと失望したからにちがいない。まじめに貯金していただけでは叶えられない夢なので、「IT企業の社長になる」と身も蓋もない現実路線を頭の中で描いているらしい。最近の小学生、おそるべし！

車かぁ。今は自分で運転したいと思わないから、ライドシェアを使いまくっている。とはいえ、運転は好きなほうだから、どこか景色のいいところへ遠出するなら運転するかも。アメリカも西から東へ車で横断したことあるし、シチリア島やアイスランドも車で回ったことあるし。そういう旅を久しくしていない！

7歳児とは車の趣味が真逆。私は、丸くて、ハッチバックで、プップ〜と走る車か、無音に近い静かな車がいい。ブルンブルンと爆音を轟かせて走るのはイヤだ。でも、アヴェンタドールの試乗はしたい。7歳児はすでにランボルギーニのショールームに行ったらしい。

確かにかっこいいね。

日記なんて書きたくなさそうにしていた7歳男児が、5歳のさらちゃんに触発されたのか、交換日記に参戦！

5歳と7歳では、やっぱり発達度が違うよねと思ったり……　ひらがなのハネなどもすごくまじめに書くお年頃なんだね。

女子は美に、男子はサイズに関心があるらしい。早く大きくなりたいのだろうか。私にもそういう時期があった。「身長がもっと伸びますように」と祈りを捧げていた時期が！

この絵を見ると、2メートル級の人はいるのか？と疑問に思っているのだろう。身近にはそこまで背の高い人はいないけど、時々、ピックルボールのコートで「のっぽさん」は見かける。事情を説明して、いつか私とのツーショットをお願いしてみようかな（でこぼこ感を出すために）。

自分の名前を一筆書きみたいなサインにしてくるところに、創造性を感じた。

男子なので、電車や車が好きなのは当然だけど、彼はとあるランボルギーニに執着している。音声検索で車のスペックを調べまくり、貯金に励んでいる。

私は女系の家に育ったので、男子の会話についていけるかどうか自信がない。どうやら、彼のほうでも、私を今ひとつ信用しきれていないらしい。だって、遠くに住んでるから、お世話してあげたことがないもんね。仕方がない。

交換日記で親しくなろう！