Y交換日記13—最終回

5歳児からの「かれしいるの?」の質問をおうむ返ししたら、こんな返事が届いた。

小さな片思い。こんなにたくさんのハートを添えるくらいに好きってことなのかな。好きになった理由がまたいいね。オバサン、ほっとした。ほら、「かっこいいから」「足が速いから」「お金持ちだから」なんて理由も可能性としてはあったわけだし。夏休みも明けて、幼稚園がまた始まるから、その子にも会えるね。夏の間に、気持ちが冷めてる可能性がなきにしもあらずだけど……

ピックルボール仲間の独身男子たちがいつも、「デートアプリは男にはキツイ」と言っている。軽い話をふりながら、相手の人となりを探らなければならないので、話し上手であることが前提になってるし、相手が変わるたびに同じような会話を繰り返すのが面倒くさいらしい。デートアプリでは「男」が話をふるものと相場が決まっていると、その男子たちは言っていた。どうやら女子は慎重に受け身らしい。

5歳児のさらちゃんも、あと20年もすればそういうアプリを使うのかな。まずは、幼稚園や小学校で胸をいっぱいときめかせてくれるといいなぁ。この夏はじめて、さらちゃんと深くお話ができて、すごくうれしかった。

ランボルギーニに熱をあげている7歳児男子、いおりくんからは、あれっきり日記がこなかった。独学でピアノを弾いてるし、「太鼓の達人」の自主トレに忙しいみたい。練習用の太鼓を送ってあげたい。ピアノは実は、おそろで私も同じのを持ってる。いおりの練習ぶりを見て、私もちらちらとまた弾きはじめた。

LINEで交換日記をしていた11歳児はなちゃんは、自ら受験に挑戦するから勉強で忙しくなったみたい。だけど、最後に私の日記に返事をくれた。

1月に会ったときは、ファッション関係の仕事がしたいと言ってた気がするけど、いろいろとやってみたいことがあるのはいいよね!!

自主的にDuolingoで英語を勉強してるし、びっくりするような大人びたことを日記に書いてたから、もう子ども扱いしちゃいけないな。英語が上手になったら、一緒に旅してみたい。珍道中になると思う。

というわけで、2025年の夏、思いつきで始めた親戚のちびっこ3人との交換日記もこれでおしまい。

楽しかったから、また来年もやってみたい。できれば絵日記で。いつまでも、遠くにいるおばさんに日記を送ってくれる人でいてね。

Y交換日記12

カナダにお城があるのかないのかという疑問からはじまり、「おしろにすむよ」と断言する5歳児。この夏、将来のビジョンを明確にした5歳児。そんなふうに私も将来の希望を言い切ってみたい。

ピックルボールのチャンピオンにオレはなる!

とかね。

しかも、美意識を強めているだけではなかった。恋愛にも関心を深めているようである。今まで半年に1回会えればラッキーくらいの頻度でしか会っていなかったので、互いのプライバシーに踏み込む会話をしてこなかった。さらちゃんに、「かれしいるの?」と気にかけてもらえただけでも、交換日記をした甲斐があった。

前回、さらちゃんに水泳のことを質問したのだけど、そんなどーでもいい質問は完全無視された。「つまらんこと訊くなよ!」と思ったにちがいない。子どもは正直でいいね。

私がキティちゃん好きであることをちゃんと覚えてくれている。私もさらちゃんの好きな(?)マイメロかクロミを描いて返事すればよかった。

互いに心を開かないと関係は深まらない。というわけで、さらちゃんにも「かれし」なり「すきなひと」なりがいるのかを訊いてみた。返事くるかな〜。

Y交換日記11

美意識の高い5歳児さらちゃんから、カナダの美人はどんななのか、かわいい人はいるのかと次々に質問が届いた。好奇心旺盛だ。答えに困って、「じゃあ、さらちゃんにとって、美人とかわいいの違いはなに?」と苦し紛れに振ったら、しばらく音信が途絶えたけど、返事がきた。

どうやら髪を三つ編みなどでアレンジして、テヘペロの笑顔で決めるタイプが「かわいい」で、ストレートヘアの持って生まれた美しさで勝負できる人が「びじん」らしい。

なるほど〜。

次は唐突に、カナダにお城はあるのか、と訊かれた。絵日記の中の、水色の物体はお城なのだな。ディズニーランドに行ってきたばかりなのか、普段からプリンセスルックで身をかためているからお城に住みたいのか……

カナダにお城は多分ない。城の要塞部分を大きくした歴史的建造物とか、昔の成金さんが建てた、お城っぽい家ならある。

さらちゃん、メアリーポピンズを観たことあるかな? お姫さま出てこないから興味を示さないかも?

急に「城」に話を振ってきたので、私も「水泳」に話を急展開させてみた。

Y交換日記10

小5のはなちゃんとの交換日記はLINEでやっている。公開することは了承してもらっているとはいえ、絵日記と比べると、「LINEをさらしている」感はある。だけど、これは交換日記なのだ。

はなちゃんは夏休み前半、一人でおばあちゃんちに3日間泊まっていた。夜な夜なおしゃべりに花を咲かせ、おばあちゃんの話し相手として過不足なかったらしい。そうとはしらず私は、ほかのちびっこに話しかけるノリで、はなちゃんに日記を書いていた。たとえば、こんなかんじで……

やや反省。とはいえ、私は普段からどうでもよいことばかり話している。この間もそうだった。一人でエレベーターに乗ったと思ったら、実は中に、子犬を抱いた小さなおばあさんがいた。あまりの小ささにすぐに視界に入ってこなかった。「うわぁ!」と驚いてしまった。失礼にもほどがある。驚く私を見て、おばあさんはどうにかせねばと思ったのか、こちらをじっと見つめ、一言、「ハロー」と声を発した。密室空間って、こういうとき困る。私は笑ってしまったのだった。我慢しきれなかった。本当に失礼だった。その後しばらくは、会う人会う人に、「こういう状況のとき、あなたならどうする? 笑いを我慢できる?」と聞きまくっていた。

とうとうタブレットを買ってもらって、Duolingoデビューしたのか。私も昔Duolingoで仏語をやったけど、猿真似の域を出なかったので、ここ数年はBoldVoiceという発音アプリに課金して「ハリウッド」に特化した発音の習得をやっている。はなちゃんにやらせたら、なかなか上手にこなしていた。

……とここまでは普通の交換日記だった。ところが突然、こんな大人びた日記が送られてきた。

驚くと同時に、本好きになってくれていることがとてもうれしい。読書の本質を見抜いているよね。外見や表紙から、その人や本が持っている何かがうかがえるけれど、その人や本がどんなストーリーを持っているのかは、その人を知ったり、本を読んだりしないとわからない。だから、人も本も好き……

えらいぞ、はなちゃん! 交換日記をやってよかった。

Y交換日記9

小5との日記はもはや大人との会話に近い。まだ経済的に自立していないだけで、日々考えていることは私と変わらない。私の思考が小5レベルなだけかもしれないが。

おしゃべりに夢中って、何をしゃべってるんだろう? 面白いYouTubeチャンネルの情報交換とか?? この間、はなちゃんの好きな番組をいくつか一緒に見たけど、どれも「よかれと思ってやったことがあだになって、草w」みたいなノリで、「ああ、そこに共感を求めるのか。私とたいして変わらないな」と思った。

最近、「新情報は30秒後には忘れる」70代男性とピックルボールをして、スコアを毎回訊かれるわ、同じジョークに2時間付き合わされるわで大変だった。本人の前では笑顔で対応してたけど、疲れたさ! あとでこの苦労に共感してもらいたくて、ピックルボール仲間にしゃべりまくった。

小学生のおしゃべりの原動力も、苦労話のシェアなのかな?? 親の悪口とか?

別に、私自身が死にそうなくらいに退屈したわけではない。死にたくなるほど逃避したくなることはあっても。

世間一般の話として、最近の小学生は忙しいとよく聞くから、小5に訊いてみたくなっただけ。この返事だと、それなりに、暇を持て余す時間があるってことなのかな??