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Shopping Bags

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Bags are now available.

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せっかくロゴも作ってもらったことだし…… というわけでエコバッグを作ってみた。

7月に旅行の計画を立てたのに、仕事で忙しくなることが確定し、キャンセルしたらお金が戻ってきた。じゃあ、そのお金で何をするか。もちろん、買いたいミニチュアは山のようにブックマークされているけれど、なんかこう、地元ビジネスに還元したほうがよくない? と思ってしまったのだ。コロナのせいだな、きっと。

バッグのデザイン案を2つ作ってもらい、フェイスブックで友達にどっちがいいかと尋ねたところ、興味深い結果が出た。営業やマーケティングをしている人は間違いなく「目立つほう」がいいと言い(3色刷り)、アート系の仕事をしている人やおしゃれ最先端を行くような人は、もう1つの案(2色刷り)のほうがいいと言い、きっぱり半分に分かれた。どっちの意見にも一理ある。結局、私は何のためにカバンを作るのか、商売のプロモーションのためなのか、自己満のためなのか、よーく考えなければならないな、と思った。

ところが、2色刷りと3色刷りとでは値段が違うことが発覚。カバンの印刷をやってくれるところのウェブサイトは、そういう見積もりが瞬時にできるので、わかりやすい。そういうわけで、「カバンをなぜ作るのか」という根源的な問いに答えるまでもなく、値段で決めた。ただ、「目立つものを作らないと!」とアドバイスしてくれた人々の声が耳に残っていて、ロゴは大きめに印刷することに。

結果的に、布との質感なども含め、とてもよい雰囲気で仕上がってきたので満足。布は薄めで、なかなかのおしゃれ感がある。分厚いコットンだと、どっかの国際会議で配るカバンみたいになっていたかもしれない。あー、危なかった。

ちなみに、その印刷屋さんが流行に敏感なのかどうか、若々しいところなのかどうかは、ツイッターでチェックした。ウェブサイトの作りからして、「若そうだな」とは思っていたけど、念には念を入れて。こういうとき、SNSは本当に役立つね。

バッグはまだ配りきってはいないけど、昔の交友を深める一面もあったりして、お金では買えない経験もできてよかった。

ちなみに、バッグまだまだ売りますよ。興味のある方は連絡ください。Etsyショップもあります。

https://www.etsy.com/listing/853163279/kn-cotton-shopping-bag?ref=shop_home_active_1

It’s been dealt with

日本からアメリカに渡り、初めて仕事をしたとき、「あ、もうそれやりました」と言うのに「It’s done」といつも言っていました。でも、「あれはもう(私もしくは誰かが)着手してますよ(終わってはないけど)」と言いたいときに、何といえばいいのかな? と思っていたら、アメリカ人が「It’s been dealt with」と言っているのを耳に挟み、「これか!」と思いました。現在形過去完了と受動態のダブル技ですが。

今回のミニチュアのティーセットは、フランスのリモージュ焼のミニチュアです。ま、本物ではないと思いますが。アンティークのミニチュアのティーセットの裏側には、「made in Japan」とか「made in occupied Japan」と記されていることがよくあります。実に細かい花の絵などが手描きだったりして見とれてしまうのと同時に、戦後直後はこういうものを作っていたんだなぁ、としみじみ思ったりするわけです。

ちなみに私の祖父は戦後に起業しました。日本軍が使っていた土地を買って工場を作って、ある商売を始めました。化学の知識が相当必要そうな商売なのに祖父は元銀行員だったし、商学部出身だったので、誰かとタッグを組んだのでしょう。そういうたくましさは、私たち三姉妹にもちょっとだけ流れているから不思議です。

不毛地帯

毎日、世界のあちこちにあった帝国について調べています。翻訳作業のために下調べしているのに、今日もリヴィウ(ウクライナにある)っていいところだな、コロナが落ち着いたら行ってみたいな、と長い間(ネット上で)すてきな建造物を見る旅をしてしまい、気が付けば仕事がはかどっていませんでした。

私の頭の中は、帝国や帝国主義のことでいっぱいで、仕事していない時間には山崎豊子の『不毛地帯』を読んでいます。戦前の軍事教育を受けた優秀な軍人って、戦後どういうところで何をしていたのだろう? と気になっていましたが、それに答えてくれる内容です。何度もドラマ化されているので、ここであらすじを話すまでもないですが。

毎年、夏の今くらいの時期になると、第二次世界大戦中の日本を描いた映画が見たくなります。市川崑の『野火』を見ようと決めてはいるのですが、内容が内容だけに、ホットドッグなど肉を食べながら見るのも憚られ(人肉を食べる話が出てくる)、まだ見ていません。その代わり、ドナルド・リッチーがこの映画について話しているインタビューを見ました。「実際に戦争を体験した世代が生々しくそれを覚えている時代にこういう映画は作られるけれど、今の日本ではこういう映画は絶対に作ることができない」と言っていました。時代が流れているってことですね。『不毛地帯』もそんな小説。

I’m melting

私の住んでいる北国では、30度を超える日はそんなに多くはないですが、30度を超えようものなら、「暑い暑い!」と騒ぐ人が半分、長い冬のつらさを思い出して「夏を楽しめ!文句言うな!」とたしなめる人が半分、といった印象を受けます。しかし往々にして、「暑い」という言葉は繰り返されると、うっとおしいものです。

そこでもう少しポジティブに「I’m melting!」と言ってみることを提案。「溶けてしまいそう!」の意味です。結婚式でバージンロードを歩くとき、感動で足がすくみ、せっかくのお化粧が流れるほどの涙を流してしまいそうなときには、down をくっつけて「I’m melting down!」と言うのもありです。

食料品を両手に抱え、お母さんが帰宅する。お母さんは汗をだらだら流しながら、「溶けそうやわ!」と一言。それを聞いた子どもは、「そうか、お母さんは溶けるほどに暑いのか」、よし、ここはひとつ、うちわであおいであげよう…… と親孝行。

お母さんも決して、「I’m melting! Melting! Melting!」とこれ見よがしに何回も言ってはなりません。人前で(←ここ重要)ドラマチックに「I’m melting!」と一言発し、買い物袋をドサッと床に置く、これだけでいいのです。

「Melting」と言えば、「Melting Snow」を「残雪」とか「なごり雪」と和訳したりしますが、逆転の発想は、翻訳の基本技術のひとつでもあります。

ところで、今回動画に使ったミニチュアのオレンジジュースは、最近買ったものです。まねっこのぬいぐるみたちには小さすぎます。ミニチュアの世界では縮尺が重要なのです。

長考:Go to Travel

Go to Travelについてしばらく考えてみた。翻訳者の視点で。家人や友だちのコメントも含めて考えた。英語圏でもキャッチコピーは文法を無視することはよくある。キャッチーにするには、当たり前なのだと思う。友だちの旦那さん(アメリカ人)が「Jane the Bakery」という店の名前が文法的に間違っていると憤慨していると聞いた。文法的に正しいのは「Jane the Baker」だから。「Jane the Baker」だとなんとなく、「David the Sheppard」みたいに聖書の一節とか昔話が始まりそうな響きがあるような気がする。「Jane’s Bakery」にするって手もあるけど、それは既に誰かが使っていそうだし、「ステラおばさんのクッキー」みたいに、やや使い古されたイメージがある(私がそう感じるだけかも)。

「Go to Travel」にネイティブスピーカーが感じる不思議さは、言葉の「重複」にあると思う。Go+Travelの。おそらく日本人は気づいていないけれど、海外の英語のネイティブスピーカーは気づいている。今に始まったことではなくて、昔からだと思う。

たとえば、ひかり新幹線を英語では、Hikari Super Expressと呼ぶ。「Super か Express のどっちかだけでもよくない?」と思ってしまう。スーパークールビズも「クールだけで十分わかるけど……」、スーパーグローバル大学創設も「超グローバル???」と、その気合いは十分すぎるほど伝わってくるネーミングで、むしろほほえましい。『となりのサインフェルド』には、主人公ジェリーが日本のテレビ番組「Super Terrific Happy Hour」に出演するというエピソードがある。90年代の話なので、その頃から、少なくともアメリカ人は日本人的な英語の使い方に気づいていたのだと思う。つまり、日本的な英語用法が確立されている。

ちなみに、私の母親が生まれた地域では、標準的な日本語なら「とても大きい」と言うところを、「おっきいおっきい」と二度繰り返す。例文を挙げると「きょうなあ、おっきいおっきい西瓜もろてん。おっきいおっきいねんでぇ~!」。大人も男女を問わず使っていたので方言なのだと思うけど、すごくかわいらしい表現だなと幼心に思っていた。ついでに言っとくと、お姉さんが2人いる場合、年の大きいほうのお姉さんは「おっき姉ちゃん」になる。お姉さんが3人いる場合は…… まだ会ったことがないから、わからない。

てなわけで、「Go to Travel」は私的にはアリ! 英語のネイティブスピーカーに寄せた「完璧」な英語のキャッチコピーを考えはじめないほうがいいと思う。でも、やっぱり、日本人に呼び掛けるときは日本語でいいんじゃない? って思うので、私だったらどういうのにするか考えた。

「たび2で4」