文学フリマ京都に行ってきた

今回の一時帰国のハイライト、文学フリマ京都に行ってきました。

羽田に着いた翌日に埼玉県川越で昼ごはんを食べ(晩ごはんは田園調布)、その翌早朝の新幹線に乗って京都へ行きと、移動距離はすごかったですが、早朝の新幹線が気持ちよかった! 空は快晴、富士山ばっちり、これで同人誌が飛ぶように売れれば最高!

結構売れました。

私が会場に着いたときには、Bookpot のメンバーたちがもうブースを設営してあって、蛍光色の表紙が特徴的な『翻訳者、豊﨑由美と読んで書く』がずらっと並んでいる様子を見たとき、達成感がからだ中にみなぎりました。そして、それに匹敵するほど、今まで画面越しにしか会ったことがなかった仲間に会えて感動! 肩をポンポンと叩き合ったり、互いのサイズ感についてコメントしたり、初めて後ろ姿を見たりと、とても新鮮でした。

メンバーさんの何人かは、表紙の黄色に合わせて、黄色の服を着てました。ノリがいい!

Bookpot は関西メンバーだけでなく、東京からも手伝いに来てくれた人たちがいて、狭いブースを交代で店番しました。といっても、私は会場をぐるぐると巡ったり、遊びに来てくれた同級生との再会を楽しんだり、SNSで知っていたクリエイターの方々に挨拶したりと、あまり手伝いませんでしたが。

「若い人は本を読まない」って言ったの、だれですかぁ〜?

……と叫びたくなるほど、出店者も来場者もいっぱいで、みんな何冊も同人誌を買ってました。私も会場の「若さ」につられて、大学生の短歌集を買いました。パラパラみてると、こっぱずかしい。自分もこうだったんだわ。

私たちの本もそうですが、Bookpot のブースの両隣もニッチな本を売ってました。一般の本屋さんではお目にかかれない珍しい装丁の本を売っている人も。内容だけでなくて、ブックデザインもいろいろでした。文フリからスターが生まれることもあるらしく、今回の文フリにも超人気のクリエイターがいて、長蛇の列&即時完売だったようですが、どの人も趣味で、好きなように本を作って売っているので、幸せな空間でした。

私は人まちがいをやらかし、古い友人が来てくれたんだと勘違いして、見知らぬ男の人に、斜め後ろからがっつり寄っかかりました。でも、その人は動じずに同人誌を買ってくれました。びっくりしたでしょうね、背後からおばさんに抱きつかれたわけだから! 

講師の豊﨑さんの本も宣伝しつつ、そして、韓国文学を紹介するちぇっくCHECK、女性作家の海外文学を紹介する「ほんやく日和」も並べて、開場する前の静かなときにパチリ!

文フリはあっというまに終わって、すっかり気分が盛り上がった我々はなぜか寒い冬空の下でコーヒー飲みながら、次のアイデアなどを話し続けたのでした。なんだろ、こういうときって、アイデアがいっぱい出てくるよね。

それから注意事項がひとつ! この蛍光色の表紙は色褪せしやすいのだそうです。暗所に保管してくださいね。

謹賀新年2024

元旦から大変なニュースが続きましたが、ここからは平穏になることを祈りたいです。

新年早々、日本に行くのでとても楽しみです。すごくいっぱいいっぱいに予定を詰め込みました。帰ってきたら、わりとすぐにサンフランシスコに行きます。こちらも楽しみです。

そして、どうやら年内にまた日本に行くかもしれません。どうなるでしょうか。

私の頭の中にいろいろとアイデアが渦巻いているのですが、ぐるぐる回って終わるだけかもしれません。ま、それでも十分かもしれない。だって、楽しいから。

2024年は去年訳した2冊がマジで世に出て欲しいなと思ってます。

親戚のちびっこに『大ピンチずかん』を送りました。前々からすっごく読みたかったそうで、正座して本を読んでいる写真が送られてきました。毎日大ピンチに見舞われているんでしょうね、きっと。目が真剣そうでした。

というわけで、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さよなら2023年

年をまたぐ仕事がいろいろとあるから、さよならしてる場合じゃない。でも、書いておこう。さっき、これを書こうとして、2022年分のを読み、「へぇ、1年前にそんなことしてたのか」と思ったから。

とりあえず再びジムに行きはじめた自分を褒めてやりたい。徒歩3分で行けるジムを選んだのは正解だった。

今年はサンフランシスコに行ったし、ドイツ(フランクフルト、ハイデルベルク、カールスルーエ)と、フランス(パリ)に行けた。年明けには日本へも行く。もっと旅をしたい。家人が2024年はコロナ以前以上に海外出張が入っていると嘆いていたが、それは私には朗報でしかない。出張の行き先がよければホイホイついていく。

ポッドキャストは3人ゲストを呼んだ。もっちりんださん、よりぞーさん、船坂まりさんとのおしゃべりは、それはそれは楽しかった! 今シーズン3だから、シーズン5くらいまではやってみよう。

今年のハイライトは、「翻訳者のための書評講座」!! 夏に急に「同人誌つくる?」と言いはじめて、そこからの展開がすごかった。各々が持っているスキルと人脈で突破したかんじ。既に予約がたくさん入っていて、すでに増刷。ありがたい!! 同人誌をつくれたこともすごいけど、私としては Bookpotters との仲間意識が深まったこともうれしい。普段家にこもって仕事してるだけだからね。あと、ニュースレターも始めたよね。

翻訳の仕事も目一杯やった。すごく分厚い本を2冊と、類語辞典シリーズを1冊。あと、3年以上も前に訳した本が突如刊行されたのはちょっと驚きだった。来年は今のところ1冊仕事をもらってる。もちろん、もっとやりたい。お仕事ください。

私が今関心を持っている分野は

  • かつらの歴史(頭に被るものがすごく好きなのと、もっとかつらをおしゃれに取り入れたい)
  • ファッション超近代史(気になるよね、格差社会のファッション!)
  • くじら関係(白鯨を読んで以来、くじらが好き)
  • カナダの水路開発の歴史(これも白鯨を読んで以来、気になっている。カナダ人口がどんどんと増え、それを支えるには新しい町、しかもアメリカ経済の恩恵を被りそうな町が必要。新しく作るのは難しいけど、衰退した水路沿いの町が復活するんでは?と思っている)
  • 創作ツール(私も創作してるから)
  • 昔のスイーツのレシピ(同人誌的に?)
  • 書評講座からさらに同人誌?
  • 労働(一部の大企業勤めの人を除き、労働問題はすごく重要。アメリカ大統領選の結果をすごく受けるはず)
  • リアリズムの国際政治(アメリカ大統領選の年だし、あちこち紛争起きてるし。大きな理想に振り回されたくない)
  • 半導体にまつわる本(出尽くした感があるけど、半導体のスタートアップ企業や、根幹技術の次に注目されるもの、たとえばアームの次の技術についての本がいいね)

今年は仕事の種をたくさんまいたと思う。まき方もコツが掴めた。どれかが実になるといいな。まだアイデアだけをあたためているものもある。来年にやってみよう。

書評講座のスピンオフ企画で「編集者と翻訳者をつなぐ」というイベントもやる。動いた瞬間に、動いてよかったと思った。自分の知りたいことを知るには自分で企画するしかない。

そして、通訳翻訳ジャーナルから2回お仕事をいただいた。1回目は私のプロフィール的な記事だったので、プロフィール写真がいると言われ、自分のロゴそっくりのプロフィール写真をプロに撮ってもらった。2回目はセルフブランディングについてインタビューしてもらった。編集の人とはじめて顔を合わせたら、「(ポッドキャストの)ロゴそのまんまですね」と言われた。

そして、そして、「翻訳中」ランプを手に入れた! 交渉して手に入れたから奇跡に近い(もちろんお代は払った)。

という感じの1年でした。

来年もどうぞよろしく。

翻訳者と編集者をつなぐ

「翻訳者のための書評講座」のスピンオフ企画ということで、みにさん・田中優子事務所の田中優子さんをお招きし、「翻訳者と編集者をつなぐ」というイベントを開くことになりました。田中さんは以前河出書房新社にいらして、数年前に独立、今はショーン・タンの日本の代理人などをされてご活躍中です。

日時:2/3(土)日本時間の午後1時から3時まで

場所:ズーム(録音はしません)

参加費:1500円程度(集まった人数にもよりますが、定員20名を割ると、少し負担が増えるかもしれません)

*大変申し訳ないのですが、キャンセルをされても参加費をお戻しすることはできません。ただし、お知り合いの翻訳者さんに代わりにご参加いただくことは可能です。前もってお知らせください。

内容:田中さんのトークとQ&A。

参加希望者のみなさんにアンケートを送りますので、

  • 田中さんに訊いてみたいこと
  • 訳者の数行程度のプロフィール

を書いていただき、それに基づいて、田中さんに話す内容を絞って準備していただきます。

ズームでの開催なので、出版社が集中している東京になかなか行けない人、家をあまり空けられない人にも、ご参加いただけます。

主に、翻訳者が翻訳物の出版企画を持ち込む場合の出版社側の諸事情であるとか、翻訳者と編集者のマッチングのようなお話をしてもらう予定ではありますが、聞きたいことがあれば、アンケートにじゃんじゃんと書いてください。

というわけで、参加希望の方はまず、12/31までに下記のメールアドレスまでお返事ください。過去に書評講座を受講された方を優先しているため、お早めに!アンケートは来年早々に送ります。

knsbookclubアットgmail.com(アットのところを @ に変えてください。)

セルフブランディングについて

通訳翻訳ジャーナルの冬号に、セルフブランディングについてインタビューを受け、記事にしてもらいました。どうして「わたし?」なのですが、結果的には、自分が関わっている活動を宣伝できたし、結構いいこと言ってるんじゃない?と思えたので、インタビューしていただいて本当によかったです。詳しくは通訳翻訳ジャーナルを読んでいただくということで、ここでは、インタビューで話しきれなかったことを書きます。「出版翻訳者」のセルフブランディングについてです。

とりあえず、ここにいますよの表明

大手弁護士事務所から独立した弁護士が、事務所と机を用意したはいいが、問い合わせすらこない。暇そうにしていると、「あなたが独立したことを世間は知っているのですか?」と人に訊かれ、はっとした、という話を聞いたことがあります。

  • 検索したら「自分」にヒットするデジタルな場所
  • 仕事くださいのメールを出すときなど、自分のプロフィールや実績を紹介できるリンク

この2つはあったほうが便利です。それに、SNSのノイズを取り払いながら、自分の関心事についてゆっくり書ける場所はあったほうが私には合っています。自分の文章を磨く意味もあって、ブログやニュースレターを書いています。そうしたものをわざわざ読みにきてくれる人は、ある意味、理由があって読みにくる。書きたいときに書けばいいと思います。

翻訳者のブランドって?

そもそも原著があって、その日本語版を出したいと思う出版社がいなければ成立しない職業なのだから、ブランドなんていらないんじゃないかという意見がありますよね。

ですが、第一線で活躍する翻訳者さんを見ていると、明らかに、その方たちの何か、たとえば、翻訳力、表現力、ユニークな視点、トークの面白さ、人柄が人気の秘訣になっていますよね。それはつくられたものではなくて、本人の内面からにじみ出るもの。

何が言いたいかといいますと、媒体は何でもいいですが、自分が大切にしていることが人にわかるように書いておくのがいいんじゃないか。それを積み重ねれば、おのずとセルフブランディングになるんじゃないかと思います。PVを稼ごうとしたり、大御所の二番煎じ的なことを書いたりするのはまったくの逆効果になるので、自分に正直に書くのが大切だと私は思います。

SNSでも、少数派意見や人気翻訳者と対立する意見を、勇気を持って理性的に述べている同業者の投稿を読むのが私は好きです。「みんないいねやリツイしてるあの案件、あの人はなんて言っているのかな」と見に行く人が、私には何人かいます。時々、実際に同業者と会って、「こうやって、冷静な分析している訳者さんがいたよ」と話すと、わりと何人もの人が同じように感じている…… これって、最強のセルフブランディングじゃないですか。

セルフブランディングはセルフプロモーションと違う

以上、セルフブランディングはセルフプロモーションとは違うということが、なんとなくおわかりいただけたでしょうか。普段考えている日記に毛が生えたようなことを書いてみたり、たまには、文字情報だけじゃなくて、画像や映像、音声にしてみたり、と私にとって、セルフブランディングは大好きなことだらけなんです。

じゃあセルフプロモーションって何なのさ?

私にとって、セルフプロモーションは「リンクをあちこちに貼り付ける」行為です。自分と距離を置くと、自分の記事をシェアするのも全然気にならなくなります。

最近はオリジナルグッズを作るのが病みつきになっているので、それを配ることもありますが、手渡した時の相手の迷惑そうな顔を見るのが怖くなければ、大丈夫です。ただ、人に嫌われると、オリジナルグッズはゴミ箱行き確定なので、環境に優しくはありません。

セルフブランディングを考えるときに参考にしている本

『アルネの作り方』

イラストレーターの大橋歩が『アルネ』という生活雑誌を一から一人で作ったときの、哲学のようなものが書かれています。無理しないで、自分の身の丈にあったものを作る方法をこの一冊で学びました。新品はもう購入できないですが。ほぼ日のリンクを貼っておきます。https://www.1101.com/store/sayonaraarne/about/index.html.

この一冊から学んだことは

  • デザイン:「大切にする。でも自分にできないことなので、できる人にお願いする」
  • 自分の関心を出す:「自分の日常をさらす、のではなく、自分の内側から出てくるものを出す」

そして、もう一冊……

『暇なんかないわ 大切なことを 考えるのに忙しくて』

こちらは、アーシュラ・K・ル=グウィンがジョゼ・サラマーゴのブログに触発されて、ブログを書き、それをエッセイ集としてまとめたものです。この本から学んだのは、自分の興味の赴くままに書き続けることや、書く勇気、かな。https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207902/

ブログなんか古いよ、という意見

出版翻訳という仕事の一番の肝は、長文読解と長文執筆です。そして、国や時代によって、流行の言説や言葉遣いは変わっていくので、それを敏感にキャッチするには、長文が書ける媒体は翻訳者向きだと私は思います。

以上、セルフブランディングについて書いてみました。出版社が立ち並ぶ街の近くに住んでいて、編集者と顔を合わせる機会に恵まれているなら、必要ないかもしれません。私はそういう機会に恵まれていないので、ブログやニュースレターを書いています。