カールスルーエからの車窓に、「ああ、こういう風景の描写を翻訳したことあるなぁ」と職業病を発症。ハイデルベルクとカールスルーエののんびり感が一気に打ち消されるパリの駅に到着。その後3日間普通に観光。今回は、友人から「バスキア&ウォーホール展がやってるよ」と情報をもらい、Fondation Louis Vuittonに行けたのがよかった。バスキアが売れる前のマドンナと付き合っていたが、依存症のせいでマドンナに振られたことを知る。
俳優のアンドリュー・マッカーシーを覚えていますか。そう、あのブラット・パックのひとり。『プリティ・イン・ピンク』や『セント・エルモス・ファイアー』に出ていた、あの人。今はテレビドラマの監督をしていて、ここ数年は、『Brat: A 80’s Story』や『Walking with Sam』と本を出し、現在、ブラット・パックのドキュメンタリーの制作中なので、ちょこちょことメディアに出てきます。
コロナ禍のあいだ、「アンドリュー・マッカーシーの本って、意外とおもしろいよ」と人に勧められ、まず、アイドル俳優時代の自分について書いた『Brat: A 80’s Story』を読み、それから、愛息子と一緒にサンティアゴ・デ・コンポステーラを歩いた話『Walking with Sam』を読みました。
『Walking with Sam』は、散歩中にオーディオで聴くのをお勧めしたいです。モラトリアム真っ最中の20歳になる息子サムと巡礼の道を端から端まで歩く話で、当然、息子と父親の関係がその間にどんどんと変わっていきます。著名なパパを持ち、マンハッタンで余裕のある暮らしをしている息子というだけで、「おいおい!」と言いたくなるのですが、それはさておき。それに、ふたりは贅沢なホテルにとまったりせずに、とても庶民的な巡礼の旅をします。
『Brat: A 80’s Story』で、アンドリューは自分の父親に結構お金をむしり取られていたことを告白しているのですが、親子関係が最悪で、父親ってものがよくわからないまま、自分が父親になってしまい、自分の愛息子にどう接していいのか、全然わからないんです。むしろ、息子への愛はあふれんばかりなのですが。表向きは、人生で何がしたいのかわからないで遊んでるだけのように見える息子をどうにかしたくて、「一緒に歩こう」と誘うのですが、本当は自分がどうしたらいいのかわからないんですね。
『Brat: A 80’s Story』もおすすめです。ブラット・パックの俳優たちや、80年代の青春映画を知ってたほうが、断然面白いですが。今、推し活されている人が多いと思いますが、「推される」ほうは実はこんなに深く悩んでいたんだね、と垣間見ることができるような話です。私は『プリティ・イン・ピンク』や、ジョン・ヒューズの青春映画が好きなので、楽しみました。大好きな映画『プリティ・イン・ピンク』のエンディングで、アンドリュー・マッカーシーの髪がおかしい、何かが変だ、と思っていた人(私)には、その答えが『Brat: A 80’s Story』に書いてあります。まじめな話としては、ブラット・パックというものが流行したのは10年くらいの短い期間なので、その時代の記録としても読めます。