Y日記57 — SNS断ちの誓い

忙しい。なのに、ふらふらとSNSに行ってしまう。気が滅入る投稿や、成功者バイアスかかりまくりの投稿をかき分けなければ、「この人の意見が聞いてみたい」と思う人の投稿に行き着かないのに。私自身は何も言うべきことはなかったりするし。

しばらくSNS断ちをするために、やっぱり日記を書くことにする。音声日記も滞っている。

最近、編み物で社会運動してきた女性たちを讃える本も出ていて、ようやくポジティブに認知されるようになったのだなと感慨深い。私もニットで社会活動してたしね。でも、ニットの活動で白い目で見られた記憶は消えてはいない。いつ、誰に、どこで、という細かいことは忘れているけど、感覚だけが残っている。編みすぎて気持ち悪がられるのはまだいいとして、社会運動を心底嫌う人はいる。支援は上から目線だとか言ってくる人もいる。そういう人に、この活動の成果を言ってみたところで、社会運動がそもそも嫌いなんだから、逆効果にしかならない。まあ、確かに思慮の足りないボランティア活動ってのはあるけど。

ネガティブなことを書いてしまった。

忙しいのは翻訳の仕事が3冊が一気に重なったから。3月いっぱいは修羅場。3冊のうち、1冊は共著だから、4人の著者が今私の頭の中にいるかんじ。おとといの夜は、ストレスのあまり、全身かゆくなって悶絶。

ソウルで知り合ったポッドキャスト仲間&翻訳仲間さんも、超絶忙しい2週間を過ごし、とんでもなく貧相なお食事をしてたと言っていて、実際何を食べていたのかも暴露していて、それを聞いた私は心底安心した。「君はひとりじゃないよ!」と太平洋の向こう側にいる彼女に向かって叫びたかった。

忙しいけど、ピックルボールはする。運動したほうが頭が冴えるし、ストレス解消。

少しずつ韓国ドラマ『You and Everything else』を見ている。やっと半分。日本語だと『ウンジュンとサンヨン』なんだけど、英語字幕で見ているし、タイトルも英語から覚えたので、『ウンジュンとサンヨン』なのか『サンヨンとウンジュン』なのかで迷ってしまう。

来年ニュージーランドに遊びに行く予定を立てている。さすがにニュージーランドは平和だろうけど、中東の戦争のせいで飛行機の燃料代が爆上がりしたらどうしようとやや心配。自分のことしか心配せんのかーい! いやいや、世界平和じゃ!!

Y日記56—音声日記など

いろいろ盛りだくさんだ。といっても翻訳とピックルボールしかしていない。

1月24日に「翻訳者のための書評講座」の10回目を開いて、2月6日にアルゼンチンのホラー小説『秘儀』の読書会をした。

『秘儀』の上巻はばらばらといろんなことが起きるけど、下巻で一気に回収されるらしい。私は上巻を7割しか読んでいなかったけど、他の人たちに教えてもらって、下巻を読むのが楽しみでしかたがない。上巻にオマイラちゃんという13歳の女の子が登場するのだけど、実在の人物だと知って、検索してしまい衝撃を受けた。小説の中の描写だけでもすごかったというのに! 『秘儀』は、政治、宗教、セックスが絡むホラーで、現実世界とリンクするところが多く、空恐ろしいのだ。結果的に、とても読書会向きな小説だった。

3月は『修道院覚書』の読書会をする。木下真穂さんを呼んで。前回も木下さんが惜しみなくポルトガルについて話してくれたので、とても楽しみ。

ポッドキャストを姉御とやっているけど、放送部だった姉御に比べ、しゃべりがうまくならない。よどみなく話せるのはバカ話をしているときだけ。文章は達者な文字弁慶なので、話すほうをなんとかしたいと思い、こっそりとスポティファイに「きょうこりん日報」なる音声日記を配信した。家族親戚と、インスタで繋がっている友人に向けてしゃべっているが、家族から早速、「滑舌が悪いのではない、声が小さいのが問題なだけだ」と出鼻をくじかれるコメントが届き、1話で終わっている。「日報」のはすなのに。でもまた配信すると思う。しゃべりを上達させたいから、無編集で配信。

うれしいことがあった。行き場を失っていた翻訳を引き受けてくれる出版社が現れ、契約が成立した。足掛け3年。石の上に3年。どうなることかと思っていたけど、予想以上の場所に着地できたのは、いろんな人のおかげです。性格的に、SOSを出すことにもお願い事をするのにも抵抗はないけど、頼み事してるくせに、うまく謙譲語が使えなくて、性格的にもへりくだるのが苦手で、直球しか投げられない自分にちょっと笑った。

ピックルボールのことを書き溜めてる。最近、電車の中で、ものすごい勢いでスマホに書き留めている。早くこれでZINEを作りたい。私にまじめなものは作れない。まじめな翻訳はできるのに。

かぎ針編みのひみつ

去年、The Knotty Boss の『かぎ針編みのひみつ Crochet Secrets』を訳しました。かぎ針編みをきれいに仕上げる技が満載で、編み欲が俄然湧いてくる一冊です。

かぎ針編みって、単色で平らに編んでいるだけでは気づかない限界がありますよね。ピクセル画像で起きるアウトライン「ガタガタ」問題と同じです。ピクセル画像の場合はAIでなめらかに仕上げますが、編み物はあくまでも人力。

その人力で、アウトラインをなめらかにし、隙間をなくし、あるいは、あえて凹凸を作り、糸を捩れさせ、テクスチャーを作り出す。あみぐるみなど、立体的なものを編むときに参考になる本だと思います。

東日本大震災が起きたときに、一緒にニットで社会活動をした、ニット作家、笹谷史子さんにこの本を紹介してもらったところ、あれほど編み物を深く研究されている人でも見直しができるテクニックがいくつかあったそうです。笹谷さん、ご紹介ありがとうございました。

著者は本職デザイナーで、インスタグラムから飛び出してきた人です。本書に書かれていることも一部、インスタの動画で確認できますが、動画って時間取るし、アカウントが消失すると元も子もなくなるので、この本を手元に置いておくと便利かと。

というわけで、この編み物好きさんの必読書、ぜひ手に取ってみてください。

余談:手芸や服飾史の本を訳しているうちに、名前が浸透したのか、「あぁ、新田さんね」と言われるようになりました。訳書を読んでから声をかけていただくこともあって、うれしいです。特に服飾の歴史はもっと訳したいなぁ。軍服史の本見つけたけど、ビジュアル少なかった。写真以前の時代の軍服は文章で表現するしかないもんね……

Y日記55—こと退治

日本語で最初から自分の文章を書くとき、「こと」は多用しないのに、訳文となると、一次訳に「こと」が頻出する。あれはなぜなのか。全体を訳し終え、見直すときになって全文検索すると、「こと」の多さに驚愕する。「言いたいこと」「知っていること」「そのこと」「驚いたことに」「〜ことを認識する」などなど、うぎゃ〜っとなる。

一つには、英文を解釈したものの、ぱっといい訳文を書けずに、プレースホルダー的に「こと」でひとまず訳す場合。

もう一つは、理解があやふやなまま、「ちょっとおかしいけど、先に進みたい」ときに無理矢理文章化し、とりあえず「こと」でごまかすような場合。あちこち書き直しているうちに、「ああ、ここの解釈が間違っていたんだわ」と気づく。

最初からバーンといい訳文が書ける女になりたい。

仕事が一段落ついたので、『Stranger Things』のファイナルシーズンを一気に観た。子役たちが大きくなっていたし、これ以上話は引きずれないところまできていたから、終わってくれてほっとした。最終回を見て、ああ、この話って世代に分かれて進行してたんだとあらためて思った。イレブンやマイクの「中心的世代」、ウィルの兄やナンシーの「お兄ちゃんお姉ちゃん世代」、ウィルの親世代、最終シーズンはマイクの妹世代まで加わった。すごく好きなドラマだったけど、異世界がめっちゃくちゃ怖くて、今現実世界もすごいことになってるから、もうちょっと安心して見ていられる異世界の話がいいな。

次に見はじめたのは韓国ドラマ『You and Everything Else』(『ウンジュンとサンヨン』)。女の子2人が互いに抱く妬みぶりが見どころ。自分にも覚えのあるちくちくした思い出が蘇ってくるけども。私はどっちかといえばサンヨンで、自虐的に冗談を言ったつもりが、ウンジュン的なクラスメートに「あんたに自虐を言う資格はない」と呼び出されて怒られたことがある。そのとき、自分には封印しなければならないものがあるのだと初めて知った。

Y日記54—Florida

年明け、フロリダに5日間行ってきた。ピックルボールをしに。そしてマナティを見に。トロントの仲間の1人が引っ越したので、彼を訪ねるという口実をつけて。最初から最後まで、どこを切り取っても楽しかった。

旅仲間は30代半ばの男子2名に私。この2人が心優しく、年寄りをいたわるかのように至れり尽くせりだった。たとえば、ピックルボールのしすぎで脱水症状だったのか、足が攣って自分の靴紐を結べなくなった私のために、靴紐を結んでくれた。エアビーでは私に一番大きな部屋を使わせてくれた。

オーランドに着いたら、現地の友人(こちらも30代半ばの男子)が迎えに来てくれて、エアビーにチェックイン。若い人たちはスマホでなんでもサクサクできるからありがたい。いや、私もスマホでやるけど、速さが違う!! スピードと言えば、この友人は出会ってすぐに結婚が決まり、結婚式に招待してもらったけど、場所がインド。4日間くらい続く結婚式なので見たいが、さすがにインドは遠い。

久しぶりの再会に話は尽きない。黙っていたのは空腹すぎてご飯にかぶりついていたときか、お腹がいっぱいになったときくらいだった。30代半ばの男子3人は、それぞれの彼女についても話していて、「ほう、ラブリーだな」と聞いていた。しかも、3人で彼女へのお土産を買いにアウトレットモールに行っていた。私も行ったが、モール内で別行動し、自分用の物を買っていた。彼女に何を買えばいいのか、アドバイスさえ求められなかった。

フロリダには無料なのに質のいいパブリックコートがいっぱいある!! 幸せだ。なぜカナダにはないのか?! 着いた日の夜、さっそくナイトゲームに参加し、アメリカ人と対戦。フロリダなだけにスペイン語があちこちから聞こえる。ここは東アジア人少なめ。代わりに南米系or白人多め。このコートは年齢層低めでティーンエージャーも多かった。10代はピックルボールしててもバカ丸出しで(互いをけなし合う)、一緒にプレイするととても楽しい。

4人のうち、1人は昔テニスのコーチをしていたので、ピックルボールも格段にうまく、あれこれ教えてもらう。もっとましなサーブが打てて、トップスピンが偶然にではなく狙ってできるようになった、気がする。

ディズニーワールドで遊ぶ案も出たけど、チケットが高いのでやめて、Silver Spring という公園へマナティを見に行った。マナティはたくさん泳いでいたが、季節はずれだからなのか(?)これでも少なめらしい。青空のおかげで水も青々透きとおり、椰子の木が南国情緒を放っていた。あちこちに小さなトカゲもいた。トカゲはスパイで私たちの会話に聞き耳を立てている。

夜は毎晩みんなで映画を見た。『People We Meet on Vacation』というバカバカしいことこの上ないラブコメを見て、「ホワイトピープルのやることは意味がわからん!」とみんなで画面に向かって騒いだ。この映画、そういうふうに見るとすごく面白い。あとは『Andhadhun』というインド映画と、『Predator』。

我ら全員移民なので、ICEに車を止められたらどうしよう、なんて少しは心配していたけど、全然見かけなかった。たぶんミネソタに集結していたからかも。

このメンバーでもう1回どこかへ行きたいなぁ。