Y日記46

ピックルボールのリーグで、途中棄権してさっさと帰りたいと思うような最悪のゲームを経験した。完全自滅ってやつですね。へこんでいるところへ、私が密かに見下しているプレイヤーがやってきて、「ぼくたち、同レベルだよね」と傷に塩を塗り込むようなことを言ってきた。怒り心頭で家に帰り、ピックルボール用のポータブルネットをポチった。

「リベンジじゃぁ〜」

と騒いでいたところ、仲間たちが「なんでネットでリベンジなん? 新しいパドルじゃなくて?」と訊いてきた。確かに。新しいパドルを買えばよかった。

軽量タイプを買ったとはいえ、ネットは6キロもあるし、細長いゴルフバッグのようなバッグに入っている。今日、おニューのネットをコートに持参しようと、地下鉄のプラットフォームまで行ったのに、電車がこない。コートに行く気満々だったため、再び地上に戻り、ライドシェアを呼ぶ。

運転手のおじさんは、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンあたりの出身の人だった。「朝の四時から運転しているけど、ウーバーががっさりマージンをとっていくから大変だわ〜」という苦労話を散々聞かされ、「あ、ここでもう結構です」と降ろしてもらった場所は公園の1ブロック手前。エッサエッサとネットを担いで公園にたどりついたときには疲れ果てていた。

公園にネットを張り、全然知らない人たちがそこでプレイをし、まるで慈善事業をしているみたいだった。持って帰るのが面倒で、仲間の車のトランクに詰め込んで、家に帰ってきた。その人は数日後に日本へ行くという。しばらくマイネットとはお別れですね……

ピックルボールの話題とはうってかわり、仕事の話。

ポシャったと諦めていた企画が通った。自分で持ち込んだ企画がはじめて通った。これは快挙。打ち合わせをするのが楽しみで仕方がない。

1月に蛇窪神社でおみくじを引いたとき、今年の私のラッキーアイテムは「木」だと書いてあった。よ〜く考えれば本は木からできているじゃないか。当たってる!!

Y日記45

昨夜は火災報知器が午前2時すぎに誤動作しはじめ、明け方までまったく眠れなかった。そして、今日はリアルな教皇選挙の結果が出た。

先日日記に書いた「ポシャった件」が生き返り、祈る思いで動向を見守っている。もう1件、祈りながら結果を待っていた件はダメだった。でも、それとて、道が閉ざされたわけではなく、ひとつひとつあたっていくしかない。というか、私はあちこちに祈りすぎ!!

かと思えば、ご指名でお仕事をいただいたりもするから、何もかもがダメなわけじゃない。この間はスケジュールが合わず、受けられなかったのが残念。ご指名を断るなんて、夜のお仕事だったらありえないのではないか。

ピックルボールでも一緒にプレイをしていて楽しい人たちとは、「明日来る? 何時に来る?」と指名し合う。ご指名がかかったので、最近はよく、インド系のおじさん3人とダブルスで試合をする。そのうち1人は説明好きで何かと言い訳がましく、3人でからかっているうちに「言い訳マン」キャラが定着し、今では愛すべき仲間でさえある。

最近見ているドラマはApple TV+の「Your Friends and Neighbors」。主演のジョン・ハムが好きという理由だけで見ていたら、意外と面白いというか、今っぽい。

億単位の年収を叩き出すヘッジファンドマネージャーが会社を首になり、豪奢な生活に慣れた自分と家族を支えるために犯罪に手を染める。超富裕層地区に住んでいるため、自分の友だちや隣人の家に忍び込んで高級品を盗むのだけど、止まらなくなってメイドと手を組んで組織的になっていく。

悪いことしてないで地味な生活すれば?と庶民は思うけど、それがどうしてもできない。無職なのにお金だけがどんどん出ていく。どうしてもはしごを降りられないから、みんなとんでもない暴走を始める。この富裕層の中に、アジア人一家がいて、そこも超リッチな親からの娘婿へのプレッシャーが半端ない!

見ていると腹の立つことも多いけど、「この人たちからお金をとりあげたら何も残らないんじゃないか?」と思って、私は冷笑的に楽しんでいる。

Y日記44

今回はもはや日記ではない。明らかに他者に向けて書いているから。でもタイトル付けるのめんどうだから日記のままにしとく。

残念な知らせが飛び込み、意気消沈していたところ、すてきなものが届きました。これは、私の翻訳書&同人誌を集めたパラパラ作品集です。グラフィックデザイナーの友人に作ってもらいました。

6月にソウル国際ブックフェア、10月にフランクフルト国際ブックフェアに行く予定なので、韓国、日本、ドイツでこれをパラパラしてこようと思います。

……とまずは気分が盛り上がるところから書きはじめてみました。ここから急降下。

がっくり項垂れたのは、持ち込んだ作品の版権がとれなかったから。二人三脚でいい線までいけたのに残念。版権料が予想外に高かったそうです。私はいままで版権料が高い本を訳したことがなかったから、びっくりでした。自分が訳した全作品の版権料を知っているわけではないですが、知っているものに関しては、「へぇ〜、そんなもんなのか。私でも払えそう」というレベルだったので。

あえなく企画は散ったわけですが、今、2冊同時進行で訳しているのでそれに専念します。お気の毒に……と思ったら、「こんな本を訳しませんか?」とお声かけいただければうれしいです。風変わりなノンフィクションで、「これを誰に訳してもらえばいいんだろう?」なんてタイトルがあれば、たぶんそれは私向きでしょう。レジュメをまた書こう。ピックルボールを控えめにして(言っている先から、できそうにない)。

先週書評講座をやって、今回も、字数制限もなくだらだら文章書いても上手くはならない、という話が出ました。確かにそう。講師に毎回言われていることなので、私は書評を書くとき、800字の字数制限を課し、4月からはトロントの生活情報誌Torjaに書評を載せてもらっています。もちろん800字で。文章はさらしてなんぼだよなと。この書評コラムはBookpottersとして獲得したので、Bookpottersのみなさんは是非書評を書いてください。

文章をさらすといえば、出身校が創立150周年を迎え、卒業生会(?)がニュースレター特別号を出すということで、短文の募集があり、「女子大」の存在意義について書いてみようと思い立ち、自分の黒歴史をさらけ出してみました。自分の身に本当に起きたことをさらけ出すのは思いのほか勇気がいるし、黒歴史に関わる人のこともさらすことになるので、そこをよく考えなきゃいけないしで、書きづらかったんですが、書いちゃいました。ロクサーヌ・ゲイが自分のトラウマをさらけ出した経験を書いていて、それを参考にしました。彼女が味わった苦しみとはレベチのことをさらしただけですが。

今日は全然やる気が出ない。

Y日記43

トランプの相互関税のせいで中国との経済戦争が激化するなか、太ったアメリカ人がいろいろな製造工場でものを作っている動画がSNSで回ってきた。中国の労働者に比べると、妙にのっそりと作業しているし、あれは中国が流しているプロパガンダだと人から聞いた。

それを見て感慨深かった。世の中の流れが変わったと思った。これまでは、ステレオタイプ的なアジア人労働者がからかわれることが多かったように思うけど、堂々とアメリカのプラットフォームで、ある種のアメリカ人をバカにした動画が出回るようになったのだね、と。昔から『ボラット』のような映画ではバカにされイジられていた種類のアメリカ人、世界一お金持ちの国アメリカにいる貧困層が、正面切ってバカにされている。

とはいえ、アメリカに手工業的な工場はあんまりない。そういう工場が戻ってきたとしても、ロボットにやらせるかもね。昔、内視鏡を作っているアメリカの工場に通訳で入らせてもらったことがあるけど、そこにはいわゆる白人はいなくて、ぱっと見た感じ、みんなフィリピン系の人たちだった。自動車工場で見かけた人たちも、プロパガンダの動画で描かれているのとは違って、のそのそなんてしていなかった。

世の中が逆転しはじめたのだから、今後、中国やイランが「アメリカが自国民の人権を守らなければアメリカとは取引しない」なんて言い出す日も来るかもしれない。

カナダでは、1970年代に「キャプテン・カヌック」というコミックキャラクターが生まれ、昨今のアメリカとの関係悪化から、このキャプテン・カヌックの人気が再燃しているらしい。でも、見た目が限りなくアメリカのスーパーマンを踏襲しているところに、カナダのアメリカ依存ぶりを感じた。1970年代に登場したのだから、ベトナム戦争に反対して生まれたキャラなのかも。でも、私がスーパーヒーローキャラを今作るとしたら、普段は野生動物なんだけど、メイプルシロップを舐めるとスーパーヒーローに変身する設定にすると思う。

https://www.cbc.ca/player/play/video/9.6686971

Y日記42

4月2日、トランプ政権が相互関税の導入を発表したので、カナダでも大騒ぎ(カナダは追加関税の対象からはずれていたので、やや拍子抜け)。その後に株市場暴落が’続く。ニュースを見ると世界は大騒ぎなのだけど、わたしはピックルボールの仲間と平和にチャットで大喜利的な冗談を言い合っていた。私以外は日本語を解さないので、大喜利ではないが、「Pickleball」を下ネタっぽくネーミングするというおふざけをしていた。こういうとき、私は語学力を発揮して人を笑わせることができる。

前日にはピックルボールのプライベートレッスンをとった。オンタリオ州で$200ドルのばらまきがあったので、それを使ったった。インストラクターは韓国系カナダ人。互いに平たい顔の民族なのは安心感を呼ぶ。サクッとした性格で教えるのも上手だった。オンタリオ州、もっと現金をばら撒いてくれ〜。

ある人とおしゃべりもしていたら、生まれてすぐに養子としてカナダに来たのだけれど、もうすぐはじめて韓国へ行くと言う。生みの親の情報は一切知らされていない。でも誕生の地へ赴くだけでもビッグイベント。「おめでとう」と声をかけた。過去に養子問題専門のセラピーをしばらく受けていた経験があるからなのか、こういう「引き寄せ」がたまにある。私は「夫婦二人の生活をまず楽しんで、あとは養子をもらえばいいじゃない?」的な軽々しい言葉を耳にすると心がざわつく。考えてみてもほしい、あの制度が大人視点で作られていることを。まあ、わたしもかつては深く考えていなかったのだが、軽々しく考えるのとは次元が違う。

だから私は孤児や、「お前は小さいときにお母さんに見捨てられたんだよ」と言われ続けて育った人が主人公の小説に引き込まれる。だから持ち込みたいタイトルがある…… となぜかここで仕事につなげてしまうのはフリーランスの習性。

最近、韓国映画『タクシー運転手』を見た。1980年の光州事件の映画だから、ふと思ったが、この韓国からカナダへ養子としてやってきた人は、その頃に生まれたのかも。この映画の英語のタイトルが「A Taxi Driver」で、アメリカ映画の「Taxi Driver」とタイトルが似てるからややこしい。「え?」と相手が勘違いしてそうだと、タクシーの運転手がソン・ガンホなのか、ロバート・デニーロなのかをはっきり言わねばならない。

他に最近見た映画は、『リアル・ペイン(A Real Pain)』、『The Wild Robot』、『自虐の詩』、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』、それと『ナポレオン』。『リアル・ペイン』の邦題に「心の旅」と副題が付いてた。副題って解釈をある方向に引っ張るよね。そこは視聴者に100%委ねてほしいといつも思う。副題って付けてほしい人多いのかな。『ナポレオン』は軍服や貴族の衣装がやっぱりすごいね。特に軍服。ここんところ、ずっと歴史衣装のことばかり調べてるから。と、また仕事の話になってしまった。