I’m melting

私の住んでいる北国では、30度を超える日はそんなに多くはないですが、30度を超えようものなら、「暑い暑い!」と騒ぐ人が半分、長い冬のつらさを思い出して「夏を楽しめ!文句言うな!」とたしなめる人が半分、といった印象を受けます。しかし往々にして、「暑い」という言葉は繰り返されると、うっとおしいものです。

そこでもう少しポジティブに「I’m melting!」と言ってみることを提案。「溶けてしまいそう!」の意味です。結婚式でバージンロードを歩くとき、感動で足がすくみ、せっかくのお化粧が流れるほどの涙を流してしまいそうなときには、down をくっつけて「I’m melting down!」と言うのもありです。

食料品を両手に抱え、お母さんが帰宅する。お母さんは汗をだらだら流しながら、「溶けそうやわ!」と一言。それを聞いた子どもは、「そうか、お母さんは溶けるほどに暑いのか」、よし、ここはひとつ、うちわであおいであげよう…… と親孝行。

お母さんも決して、「I’m melting! Melting! Melting!」とこれ見よがしに何回も言ってはなりません。人前で(←ここ重要)ドラマチックに「I’m melting!」と一言発し、買い物袋をドサッと床に置く、これだけでいいのです。

「Melting」と言えば、「Melting Snow」を「残雪」とか「なごり雪」と和訳したりしますが、逆転の発想は、翻訳の基本技術のひとつでもあります。

ところで、今回動画に使ったミニチュアのオレンジジュースは、最近買ったものです。まねっこのぬいぐるみたちには小さすぎます。ミニチュアの世界では縮尺が重要なのです。

You’ve asked for it

4月に撮りためた動画が底をついてきました。まだ何本か撮影はしてあるけど編集してないし、ネタ帳にはネタもいっぱいあるけど撮影してないし…… はい、今回の動画は「身から出た錆」「自業自得」がテーマです。

またしても「Go to Travel」に関して英語警察が出動しています。文法が間違っているとか、英語ネイティブはそんな言い方しないとか…… それより、日本政府が日本国民に向けて発している言葉なのに英語はやめたほうがいいんじゃない? いや、そんなこと言ってないで自分のできる範囲で観光業を助けてあげれば? と思う私です。

この「Go to」で思い出しましたが、私の住むオンタリオ州の車のナンバープレートには「Yours to Discover」と書かれています。「オンタリオ州は君のもの、だけど、オンタリオのどんな魅力を発見するのかは君次第」という意味です。つまり「車であちこちぶらぶら出掛けて行って、自分でいろんな発見してね」というゆるい標語です。「ああ、出かけたい!」と思わせる言葉だと私は思います。

ちなみに、今、私がすごく行きたいところはロンドン(+イギリスのあちこち)です。何回行っても飽きない(シカゴについても同じことを言っていますが)。

No Need To Butter Me Up

誰でも褒められたい。褒めてほしい。

しかし褒め加減も重要です。度を越すとおべっかやごますりになり、裏には何かあるのでは? と勘ぐってしまいます。ティーンエージャーの頃、毎日のように私の容姿をしつこいほど褒めてくるクラスメートがいて、「ふ~ん」「そんなことないよ」「ありがとう」のバリエーションでひたすら返していたのですが、ある日、本当に嫌になって、「そーですが、何か?」的な言葉を返したところ、痛い目に遭いました。大人になった今でも「なんであのとき我慢ができなかったのかな」と思います。本当に、褒めるほうも、褒められるほうも、加減が…… 自制心が求められるのです。

「You don’t need to butter me up. 」は「おべっかなんて使わなくていいんだよ」です。おべっか、ごますり、ご機嫌取り、どれでもいいですが。

それはさておき、この動画に出てくる、小さな猫の絵皿に注目。私のアンティーク探しのなかで1,2を争うお宝発見だったのです。もう1つのお宝は、このウェブサイトの「Welcome」ページにあるウィローのミニチュアカップ&ソーサ―。この2つはネットで見つけたのではなく、巨大なアンティーク市場で見つけたのです。

What Makes You Bring That UP?

コロナの緊急事態宣言が出てから数カ月になります。季節はすでに夏。あちこち遊びに出かけたいところですが、去年と同じようにはいきません。ストレスが溜まって人に八つ当たりしたくなることもしばしば。

「売り言葉 or 買い言葉」のどちらかに仕分けするなら、「What makes you bring that up?」は買い言葉です。「Why do you say that?」も同じ意味です。相手から発せられた売り言葉がオブラートに包まれ、その真意が読めないとき、いえ、悪意がそこはかとなく感じられることだけがわかっているので気になり、「それって、どういう意味?」と訊くのです。訊いたところで相手は「Nothing(何でもない)」と言うだけなので、一枚一枚オブラートを剥がし、あなたにとって不都合な真実に直面すべきなのかどうか、高度な判断が必要になります。 

私が何度も見ている『ダウントン・アビー』や『ザ・クラウン』に出てくる貴族たちは、「Nothing」と返されると、かなりの確率で表面的な口喧嘩をやめます。そのときに彼らが使う魔法の言葉が「Very well(ああ、さようですか。よございますわね)」です。

喧嘩を売るにしても、買うにしても、出来れば賢く選びたいものですが、ストレスが溜まっているときは難しい……

The Penny Dropped

この動画を作るのに、1セント硬貨(= a penny)を探し回りました。今はもう使われていないのです。そんな貴重な硬貨なのに、うまく画面に収まるように転がすのが大変で、この白い家具の後ろにいっぱい落としてしまいました。

ところで最近、腑に落ちることがありました。

私は英語から日本語に訳すのが専門で、カタカナを使うと「カタカナじゃなくて、日本語らしく訳してもらえますか?」と編集担当の人に指摘されることがあります。翻訳するときに下調べもするし、勉強もします。なので、「え? これは日本で一般的に使われているカタカナ語ではないの?」と疑問に思うのですが、工夫すれば言い換えられるので訳文を作り直します。でも、和書やインターネットにある日本語記事や日本人同士の討論には、当たり前のように、そのカタカナ語が使われている……

そこで日本にいる友人たちに尋ねてみると、日本人の識者たちによる討論会などはカタカナ語が多用されていて、内容がよくわからない、ようです。あと、ついうっかりカタカナ語を使ってしまい、「意味がよくわかりません」と指摘を受けることも……。カタカナ語は内輪では通じるけれど、その外にいる人にはわからないか、わかりにくいのでしょう。やっぱり、私の訳文への編集者の指摘は的確だったのです。

それと同時に、「翻訳書」へのアレルギーが一定の読者にはあるのかもしれません。外国の知識、外国人の論調、外国かぶれしている翻訳者に対して、懐疑的な目で見てしまう…… だから、カタカナが多すぎると嫌がられるのかもしれません。

この間見たインターネットの討論で、日本人に交じって、大変日本語が流暢なイギリス人が、その場の誰よりもカタカナ語を使わずにしゃべっていました。私には、このイギリス人の気持ちがよくわかる気がします。

とにかく、周囲の意見を聞いて、「腑に落ちた」のです。ヨカッタ、ヨカッタ。