夏休み—ドイツ&フランスの旅

10日間、ドイツとフランスに行ってきた。盛りだくさんだったので、忘れる前に書き残しておく。今回は、「計画を立てるのはやめて、気の赴くままに動く」ことを念頭に置いた休暇だったので、大したことは何もしなかった。

フランクフルト

中央駅に到着するなり、ブルージーンズに黒のTシャツの中年で埋め尽くされていたので、「なんだろう?これがフランクフルトの最新ファッション?」と首をかしげていると、彼らのTシャツに「IRON MAIDEN」の文字が。コンサートがあるらしい。

夜、グーグル先生に示されたルートで中央駅のそばにあるホテルに戻ろうとしたところ、とんでもない地区を通って帰るはめに。普通のホームレスというよりは、ドラッグ依存症がかなり進み、ゾンビ化してしまっている人々があちこちに。コロナ禍以降の先進国の都会の風物詩と言ってもいいかもしれない……

ドイツ入りする前から、在ドイツの方々に「各地のソーセージを楽しんでね!」と言われていたので、フランクフルトのソーセージとは?と調べたところ、意外にも、いろんなハーブが仕込んであるとかそういうのではなく、細めのお弁当に入れるような感じのソーセージが「オリジナル」らしく、店のメニューにそう書いてある。うまい!かじると、プリッとしてる。塩辛さがビールとよく合っていた。

トロントからパッと行ける距離なんだから、フランクフルトのブックフェアに一度は行くべきかなと、思いを新たにした。

ハイデルベルク

中世のお城が有名で、そこへ観光客が一極集中している古都。城のある丘に登るだけで体力を使い果たす。途中で「疲れた!」と揉める家族が続出するほど勾配がきつい。ところが、その丘から降りた直後に家人から連絡があり、「対面の丘をハイキングするから来い」とのお達しが。ハイデルベルクは、あの万年筆ラミーの本拠地。ラミー専門店で子供用ラミーを購入。

家人はハイデルベルクにある大学のサマースクールで一仕事。私もさまざまなネットワーキングイベントに駆り出される。ヨーロッパ各地から学生が学びに来ていたが、工学部の学生って、就職に苦労しない上に、「起業」という現実的な選択肢があるので、全体的に前向きで明るい。まあ、通常の学期が終わっても、サマースクールに参加するくらいなので、モチベーション高めの人が揃っているのだろう。私が何をしているのかを興味津々に聞いてくる子たちもいて、結構楽しかった。

ドイツで起業している性的マイノリティの人に会った。その人の会社で働いている人が全員性的マイノリティで、全員在宅勤務であることを知る。その会社は一攫千金を狙うタイプの「スタートアップ」ではなく、大企業の仕事を請け負う安定型なので、自分たちが働きやすい環境を作るという意味で、こういう起業はありかも、と感心した。

ドイツの大学関係者とやたらと時間を過ごす結果になったが、ある人が「今引退してもオレは退屈せんぞ。読み直したい本が山のようにあるから」と言っていたが、わかる!とうなづきながら聞いていた。

最後に、大学が用意してくれた観光案内人の説明を聞きながら、古都を見て回ったが、歴史好きさんの案内というのは、なぜあのように面白いのだろう。先端技術の開発者 vs 歴女のやりとりもおかしかった。

カールスルーエ

パリ行きの電車が満席で狙っていた電車の切符がとれなかったために、思いつきで立ち寄ることに。ハイデルベルク駅のみどりの窓口で働いているおばさんに、「(乗り換え駅の)カールスルーエには何があるの?」と聞くと、「スー」と答えが返ってきた。「スー?」「スーよ」「スーって?」「アニマルとか」「ああ、Zooのことね」と窓口にてスースー言い合う。

あれだけスースー言っときながら、結局動物園には行かず、ナチス時代の兵器工場が現代美術館になっている「ZKM」へ。広い美術館なので、全部を見る時間はなかったけど、建物が「元工場」感を放っていて良かった。

パリ

カールスルーエからの車窓に、「ああ、こういう風景の描写を翻訳したことあるなぁ」と職業病を発症。ハイデルベルクとカールスルーエののんびり感が一気に打ち消されるパリの駅に到着。その後3日間普通に観光。今回は、友人から「バスキア&ウォーホール展がやってるよ」と情報をもらい、Fondation Louis Vuittonに行けたのがよかった。バスキアが売れる前のマドンナと付き合っていたが、依存症のせいでマドンナに振られたことを知る。

前回パリを訪ねたのは8年前。同じ地区にホテルをとったけど、8年も経つといろいろ変わるもんだなとしみじみ思った。グーグル先生のレストラン評価は全然当てにならないので、一周回って、稼ぐ目的で書いたわけではない個人のブログなどが、いちばんだなと。でも、最近ブログをせっせと書いている人は少ないし、検索してもなかなかヒットしない。

私としては、ギャルリ・ヴィヴィエンヌにあるペーパークラフトの店で、紙で作った蝶々や花を買えたことがいちばんの収穫。8年前に初めて買ったけど、なんたって紙なので、日焼けして汚くなってきていたのを買い替えた!次、いつ来るかもわからないし、いっぱい買ったにもかかわらず、買い足りなかった。