Y日記33

冬になり、マイナス5℃だろうと雪が降り積もろうと、ピックルボールをしています。来年はミニリーグでプレイする予定です。「冬になったらピックルボールは休憩する」と言っていたのはどの口だ? 年末年始に出かける人も多いですが、どこにも行かないメンバーでプレイをする予定がいっぱいです。仲間からさっそくクリスマスプレゼント(キーホルダー)をもらいました。

ちなみに、私がプレイしているのは教会の地下です。コートは1面しかないのですが、このコート貸しで教会はすごく儲かっているらしいです。あちこちにお布施を頼まなくてもいいくらいに。知らなかったけど、教会って活発に使われているのですね。クリスマス前とあって、上階では聖歌隊が歌を練習していたり、キルトのグループが集まっていたり、若い人もたくさんいる。LGBTQの人にも扉を開いている宗派だし、結構この教会好きかも。

この間、リタイア生活を楽しんでいる女の人が「クルーズ船でピックルボールをした」と言っていました。いくら大きな客船でも、さすがに揺れるんじゃないかと思っていたら、「揺れるわよ。ボールも海に落ちるわよ」と。そこまでしてピックルボールをしたいのかと驚きましたが、実は私も1月に日本に行くときに、パドルを持っていこうかなと考えているので人のことは言えない。

久しぶりに車で遠出をしました。ワイナリーに行ったのですが、平日だったのというのに早々とクリスマス休暇に入っているらしいお年を召した人がいっぱいいました。私たちは普段在宅勤務か徒歩通勤なのですっかり忘れていましたが、帰り道の高速の渋滞がすごかった。車の中でじっとしてるのもなんだし、ショッピングモールにでも行くかと立ち寄ったら、なんと! 夏休みで使ったカタール航空の機内食で出てきたレダラッハのチョコレートが売っていた! チャリーンとお金が出て行きました。そういえば、夏のスイス旅行を note の記事にするはずだったのに、してない。

今週はせっせと仕事の種まきをしていました。すごく時間がかかるし報われないことも多いけど種まきは重要。しかも、この作業はいつも手探りで、これでいいのかがわからなくなってくる。1週間で詰め込んでやったので、今日は昼寝をたっぷりと。そんなわけで、今週は翻訳を進められませんでした。

Y日記32

今年はじめての吹雪だった。ピックルボールの帰り道、駅の改札をくぐるあたりから、床に真っ赤なペンキがポタポタと落ちていて、ずっと駅の構内にも続いていた。ペンキだと最初は思ったけど、なんとなく悪い予感がして、なるべく踏まないようにしていた。

「おい! あんたの頭から血がダラダラしたたっとるぞ!」と駅の人の声が聞こえた。ただごとではない雰囲気がして、声のほうを見たら、どこかの工事現場の仕事上がりのような男の人がいて、頭も顔も、ダウンジャケットも、赤い血に染まっていた。目もあけられないみたいで、目をしばたいているのが見えて、心底ぎょっとした。それにその人は「ああ?」くらいの短い言葉を返した。

じろじろ見たらいけないと思って、そそくさとその場を去ったけど、あんなに血だらけの人、ハロウィーンの仮装のときしか見たことなかった。何があったんだろう。雪ですべって頭をどこかにぶつけたのかな。自分が血だらけだとは言われるまで気づいていなかったみたい。

その人の血は、少なくも床に落ちていた血の色は明るい赤だった。血ってもう少し黒みがあるんだと思っていた。静脈血と動脈血でも色が違うらしい。

Y日記31

最近、私の訳本が刊行されましたが、一般流通はしていないみたい。リアリズムの国際政治学者ジョン・ミアシャイマーの本で、邦訳は『リベラリズムという妄想』です。前半が政治哲学、後半が今の国際政治についてだから教科書っぽくはあるけど、政治哲学に馴染みがない人は後半を読んでから、前半に戻るという読み方をすれば、わかりやすいかな。

タイトルは私がつけたわけじゃない。邦題からは内容を想像しにくいけれど、一極集中の世界で超強大なリベラル国が「リベラル・ヘゲモニー」という世界覇権を目論んでも、他国のナショナリズムの抵抗に遭って失敗します、という大筋です(アメリカがそうであるように)。どうしても、「共和党支持か/民主党支持か」や「保守か/進歩か」の対立軸で考えてしまいがちではありますが、そうではなく、もっと俯瞰して、冷戦以降のアメリカの政権を振り返って分析しています。たぶん、『リベラリズムという妄想』というタイトルが付いたのは、反リベラルのほうが食いつきやすい内容なのと、ジョン・グレイの『グローバリズムという妄想』の二番煎じっぽい邦題により、あれを読んだ人はこれも読んでね、と誘導しやすいからかもしれないです。

今後の世界の勢力均衡はどうなるのだろう、各地の戦争はどうなっていくのだろうと思っている人は読んでみてください。といっても、この本、どこで買えるんだろう? 今のところ、Amazonでも売っていなかった。いつかメルカリに放出されるかも。

実は、この本、向こうから私のところへ転がり込んできました。私が引き受けたのは、次のような理由があったからです。

2年以上前、ロシアがウクライナに侵攻したとき、カナダやアメリカの大手メディアでは、当然ながら、西側の見解だけが報道されていました。私が住んでいるカナダはNATO加盟国だし、ウクライナ系移民もロシア系移民も多く抱えて抗議デモも盛んだったし、NHLのオベチキンなどは堂々とロシアを擁護して話題になった時期もありました。何より、カナダは早々に大勢のウクライナ人の受け入れを決めていました。

私は、「どうなるんだろう?」と不安を感じているうちに、戦地から遠く離れている私たちはプロパガンダ戦争に巻き込まれている気もしてきて、大手メディアよりもポッドキャストを聴くようになりました。政治ポッドキャストの世界では、ミアシャイマーの名前をよく耳にし、実際に出演もしていました。ざっくり要約すると、「何十年と続いてきたNATOの東方拡大が引き金になってロシアは軍事行動に出たのだから、西側に責任がある」とミアシャイマーは言いつづけていました。

そもそも私は、ブッシュ息子が「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」と主張して、イラク戦争やアフガニスタン戦争を始めた頃にアメリカに住んでいたこともあって、「民主主義を広めるために他国に侵略するアメリカ」に心底驚き、そのあとに続いたムスリム叩きに辟易していました。だから、ミアシャイマーの言っていることに共感を覚えたのです。

そんなわけで、私は「やるやる〜!」と引き受けました。家人に「ミアシャイマーの本を訳すことになったよ」と伝えたら、「ノー・ファッキング・ウェイ!」と喜んでくれたので、二人で乾杯しました。

余談ですが、大学時代の友人で政治学者になった人がいたので、その人に献本することにしました。でも、所属大学名しか知らなかったから、所属と住所を突き止めて送りました。ちゃんと届いたかな?


最近、姉御が見ろ!と言ってきたマーサ・スチュワートのドキュメンタリー映画『Martha』と、イギリスのストーカードラマ『Baby Reindeer』を見ました。『Baby Reindeer』は、単なるストーカーの話かと思ったら、全然違った。『Martha』はマーサ・スチュワートが出所したときに来ていたポンチョと、そのあとに続いた「ポンチョブーム」もちゃんと描かれていて、「私もあのポンチョ作ったな〜」と懐かしく感じたのがよかったです。当時から、マーサが男だったら、そもそも実刑判決を受けることなどなかったと言われていましたよね。

どっちもおすすめ。

あとは、アーサー王について勉強しようと思って、『First Knight』も見ました。ショーン・コネリーがアーサー王で、リチャード・ギアがランスロット。う〜ん…… 面白くはなかった。1995年の映画だからかな、それとも、リチャード・ギアがあんまり好きじゃないからかな。

Y日記30

髪型を久しぶりに変えた。おかっぱを「ウルフカット」に。以前から「ウルフカットが似合うはず!」と美容師さんにアドバイスされていて、実際に髪を切ったら、仕上がりが思いのほか良くて満足。ちょっぴり「岡ひろみ」。ピックルボールに夢中だから、髪型までそっち方向にいってしまうんだな。

↑こうなるには、ヘアアイロンでセットしなきゃいかんがね。前髪もしっかりと作った。

翻訳者の間では(といっても英語やヨーロッパ言語の翻訳者の間だけのような気もするが)、「和臭」のする和語を避けたほうがいいと言われることがよくある。そうかも、と同意するケースもあれば、そこまですると言葉狩りっぽくて自由がなくなると思うケースもある。私は、兵舎を「かまぼこ型」と形容したことがある。原文を読むかぎり、「かまぼこ型」だったので。でも、「かまぼこ」は和臭を放つ言葉とされるらしい。でも、この言葉を避けると説明的になる危険がある。

私は個人的に和語は時と場合によって使ってもいいと思っている。他の表現を考えても、うまい表現が見つからないときなどがそう。編集の人から物言いがつけば、変えたりする。判断の基準は原文が放つ雰囲気で決めたいけど、「和臭」って欧米の言語との乖離の問題でもあったりするから、韓国語や中国語だとどう扱われるんだろう? あと、使う和語によっては古臭いものもあるよね、和臭というよりは。今週の書評講座で聞いてみようかな。 

書評講座といえば、その課題書を超特急で本2冊読んだ。ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』とピエール・ルメートル『邪悪なる大蛇』。あと、殺伐とした世界にうんざりして、ずーっと積読していた『Humankind 希望の歴史』を読みはじめた。

Y日記29

20代最後だわ……って日記に付けてる番号のことですが。

今週はアメリカ大統領選に決着がつき、それだけで心底疲れたのに、その後「それ見たことか!」「現実を見ていないからだ!」など、勝ち誇った言葉がうじゃうじゃと吐き出され、うんざり。なかでも、いちばんむかつくのがビットコイン投資組です。「先を見てたんだよね〜」とか「儲かった!」と憚りなく自画自賛。人はいつからSNSなどで、儲け自慢をするようになったんでしょう。見苦しい。

アメリカだけではないですが、老後資金を個人が自力で貯める仕組みが普及しているので(401Kとか。日本で言うNISAみたいなもの)、経済が上向くと自分が期待する政党に票を入れる人は増えているんではないかと思います。従来の年金制度だと、年金積立を「政府にお金にとられてる!」と感じる人もいますよね。でも、401KやNISAだと、実はそこには「失敗しても自己責任」が織り込まれているのに、「自分で投資してる感」があり(確かに個人差が出てくる)、どうしても「この政党が勝つと株が上がる」期待を理由に投票する人が増える。

余談ですが、以前勤めていた会社で、「よく知らずに401Kに入ったら、60歳までお金が自由に引き出せないから騙された!」と言っている人がいたので、年金を含めた老後資金に関しては、人によってものすごく考え方が違うのだなと思ったことがあります。

あと、中絶問題も、自分が妊娠可能な年齢であるか、そういうお年頃にこれから差し掛かる子どもがいる家庭の問題でしかなかったのかなと、女性票の内訳を見てうっすら思いました。

それから、気持ち的に、副大統領は一体どっちなんだ問題もあります。つまり、名目どおりにJDヴァンスなのか、イーロン・マスクなのか、です。それくらい、マスクがしゃしゃり出てる。そして、JDヴァンスはペンス前副大統領と同じ道をたどるのか。それとも、第二期トランプ政権は2回目なだけに、もっとスムーズになるのか!?!?

あーやだやだ、気持ちを入れ替えよう。

でもね、確かに世の中が変わってきてるなって、街を歩いているだけで感じていました。

私は今までと変わらず、ピックルボールを続ける所存です。

選挙結果が出た翌日に、ピックルボールのコート脇のベンチで、初めて会うおじさんと休憩していたら、おもむろにバックパックから赤い野球帽を出してかぶったので、「ひぃ〜〜!!」と身構えたのですが、ただの赤い野球帽でした。