Y日記26

ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞して、特に韓国語の翻訳者さんや版元が喜びの歓声をSNSで挙げているのを見て、私も幸せな気分になった。ハン・ガンの作品は既にたくさん日本語に翻訳されていたから。それに、私の好きな作家でもあるし。

ノーベル文学賞の候補になるには、そもそも英訳が必要で、英語圏外の作家が受賞するのはハードルが高い。そのことを快く思わない人もいるけれど、やはり英語圏で知名度が上がると、作品を読んでくれる人が増えるのは間違いない。権威の存在はいいところもあるから、むずかしいね。

その昔、ハン・ガンがブッカー国際賞を獲ったときに、英訳で一悶着があった。そのときに書いたブログ記事を貼っておこう。英語と韓国語の両方ができる韓国系の人々が英訳に物申したのだけど、その渦中に、英訳者がカナダのラジオ番組で堂々と釈明していたのをたまたま聞いて、えらいな!と尊敬したのだった。

『別れを告げない』の英訳はこれから出るところで、日本語を含めた他言語では既に訳され刊行されている。他言語の表紙はみな、済州島をイメージしてブルーが使われているのに、英語版はブルーを一切使ってなくて、黄色が差し色になっている。それを見たどこかの国の人がSNSで、「英語版も他に倣ってブルーを使え!」と文句を言っていた。

トロントでは毎年9月後半に作家祭が開かれる。今年は、『コーヒーが冷めないうちに』の川口俊一さんが来ていた。私もイベントに行ってみたけど、川口さんはトークがうまい! 北米の人にウケる話し方ができる。もちろん日本語で話して、通訳さんが英語に訳すのだけど。大型チェーン店では、『コーヒーが冷めないうちに』シリーズの棚もできていた。表紙がかわいいから、猫グッズやジクソーパズルと並べて売られてて、棚がそこだけ可愛かった。

話は変わり、今観ているドラマはこれ。実際に起きた実親殺人事件をモチーフにして、殺人を犯した息子2人の視点で描かれてる。「ハリウッドの金持ちのボンボンに対する思い込み」vs 毒親からのトラウマの構図。たぶん、当時の報道は「財産目当てのボンボンであること」に焦点が置かれていたけど、このドラマは子どもたちのトラウマに焦点が当てられているのがミソ。親に受けた虐待について話すシーンには息をのむ。

Y日記25

間があいた。早朝のピックルボールが寒くなってきたし、夕方は日が短くなってきたのでライトのある公園に行かなくてはいけない。とりあえず、冬の間はピックルボールをお休みする予定なので、気温が許す限り、外でやるつもり。

それ以外は地味な生活をしている。しばらく休んでいたNetflixに戻ったので、ようやく『System Crasher』を見た。幼児期のトラウマを抱えた9歳の女の子が養護施設をたらい回しにされる話なので、これから見る人は、心して見てね。

すごい話ではあるんだけど、私にとっては、この女の子が現実には役者だってことが衝撃だった。

あとは、友達におすすめされたFXの「SHOGUN」のオリジナルポッドキャストが力作ですごくよかった。なんていうか、細かすぎず、でも要所を押さえて、リスナーを侮らない情報量がよかった。ドラマを見てても見過ごしそうなセットの話とか、安針の視点とか、日本文化の説明とか、戦国時代と江戸時代の違いとか、「ここから東京って街が生まれていくのですよ」っていう誘導もよかった。 

ポッドキャストいえば最近収録を姉御としたのだけど、リスナーさんから苦言が届いたため、それについて話し合った。苦言そのものよりも、ポッドキャストやニュースレターのような個人メディアの難しさについて。私たちの場合、雑談系ポッドキャストと銘打ってやっているので、誰かにとって大切なことを軽く話したり、「余計なこと」を言ったり、何でも垂れ流したりする危険をはらんでいる。私たちは、姉御が映画のプロデューサーだから、言ってはまずいことには厳しいけどね。

ちょっと例がずれるけど、私はある人のニュースレターを購読している。その人のものすごく個人的な悩みやトラウマについて書かれた記事を読むと、「そんなことは知りたくない!オーバーシェアリングだ!」って強い拒否反応が出る。私がその人のファンだったりすれば、話は別なんだけど、そうじゃないから。そういうのはブログでやってほしいって思うの。ブログだと、ニュースレターみたいに受信ボックスに入ってこないから。

こういう個人メディアが誕生する前は、著名人が講演会や著書の中で「実は私にはこういうトラウマがありまして……」と、トラウマを世間に知らせる特権があった。でも、今は裾野が広がって、よく知らない人のことまで知ってしまう。それが嫌なのかな? いや、ポッドキャストやニュースレターやるくらいの人はメディアの使い道をよく考えて使っているはずだから、計算の上?なんて勘ぐったりすると、その人のことを好意的に思えなくなる。だから、逆に有料にしておいてほしいんだな、見なくてすむから。

ややこしい。

第8回目の書評講座します

今年の11月中旬はイベントが目白押しなのですかね。いつもより書評講座の集まりが遅いです。個人的に豊﨑由美さんに時間を割いて講師をしてもらっているので、やっぱり15人くらいは集めたい! 今10人集まっているので、もちろん開催はできますが。

というわけで、新しく挑戦してみたいと考えていらっしゃる方、大歓迎です! 

初めてでちょっと様子見したい方なら、合評からの参加がいいかと思います。もちろん、書評執筆からでも! 課題本を読む時間がない方なら、前にどこか別のところで書いたことのある書評を字数を変えて出してくださるのでもいいですよ〜

参加したことのある人は、今回人数少なめかもしれないので、複数の書評提出もアリです。

詳しくはこちらをごらんください!

https://bookpotters.substack.com/p/8

今月の翻訳者のためのおしゃべりサロンに行く予定ですので、そのときに質問してください。

Y日記24

先週末から猫の調子がおかしい。認知症が進んでいるのかも。おトイレ問題が頻発中。獣医に連れて行き、血液検査と尿検査もしたけど、異常なし。歳をとるにつれ、いろいろあるんだなぁ、と改めて思う。猫を飼っているほうの人間も15年や20年の周期で経験するし、毎回同じ症状になるわけでもないから、おたおたする。

獣医への支払いがハンパなく高くて、「アメリカの人間の医療費がこうだったよな……」と遠い目になった。

今週は、Netflixの『極悪女王』を5話全部見たのがハイライト。別に私は女子プロレスリングのファンでもないけど、「長与千種」に似ているってよく言われるので、興味津々で見たら、なんと! 俳優たちが本当にレスリングしているではないの!

試合のシーンは画面越しに騒いだよ。本気出すってすごいね。あとで、YouTubeで女優さんたちのインタビューいっぱい見た。

これは友だちから送られてきたリンク

つまりは、私は「年取った香取慎吾」にも似てるってこと?

Y日記23(書評講座の歴代課題書)


急に思い立って、「翻訳者のための書評講座」の過去の課題書を並べてみた。
全部で13冊か。書評を書きにくいもの、気をつける点が多いものなどを選んでもらっているのだが、どこが難しいのかは講座内で明かされる。ちゃんと記録をとっておこう。

1回目
クイーンズ・ギャンビット
エルサレム
キャビネット

2回目
掃除婦のための手引き書
ハムネット

3回目
喜べ、幸なる魂よ
フランキスシュタイン

4回目
インヴェンション・オブ・サウンド

5回目
ものまね鳥を殺すのは
神は俺たちの隣に

6回目
ハリケーンの季節

7回目
ムーン・パレス
幻影の書


8回目はまだ課題書が決まっていない。決定を待つ間にスペースを開いて、課題書の予想を立てたけど、ちゃんとした予想ができるわけもなく、タイトルをひらすら言い合う会になり、それはそれで、積読が増えそうで楽しかった。

自由選書も入れると、すごい数の本の書評をみんなで書いたことになる。