ウソ日記4

山形でトミヤマユキコさんの講座がある。7日間ウソ日記を書くという課題らしい。本当は受講したかったけど、できないから、代わりにここに7日間ウソ日記を書く。全部がうそっぱちとは限らない。

5月25日木曜日

散歩の途中、大型犬に出会った。妙に男らしくがに股で歩き、後ろ脚の間に男の勲章である「玉」をぶら下げていた。

「いやいや、だまされんぞ」

と私は思った。ワンコの去勢が当たり前になり、「玉」を失ったオスワンコを気の毒に思った飼い主たちが、「Nu Ball」なるものをくっつけてやり、ワンコの男らしさを取り戻してやっている、という記事を昔読んだことがあるからだ。最近は動物であっても「オス」であり続けることは難しいらしい。

しかし、その大型犬はクンクンクンクンと芝生の匂いを嗅ぎまわり、追い越す私のこともクンクンクンクンとチェックし、野性味たっぷりの犬だったので、あれは自前の玉だな、と考えを改めた。

私はかつて「Nu Bra」を持っていた。別に豊胸に憧れていたわけではないが、サマードレスなどを着るときに「Nu Bra」で盛っておかないと、胸の部分がスカスカになるのだ。ある日、私はNu Braを付け、胸の谷間をくっきり出したサマードレスで女友達と食事に出かけた。「おお、やるね~」「だろ~?!」とささやかな自慢をして食事をした。

帰りはバス。バス停にバスが来てるから、みんなで走った。私は断トツ足が速かった。

「ちょっとちょっと~!!」と背後から友人が叫ぶので、振り返ると、いつの間にかNu Braが落ちていた。走って汗をかいたから、粘着力が弱まったのだろうか。

道に落ちているNu Braは無残だった、いや、異様だった。道に落ちていてもプリプリしていた。拾い上げて、さっと胸に張り付け直した。女でいることにも一種のややこしさはある。オスワンコと同じで。

今日も一日、風がさわやかだったゼ。