今回はバーネットの『秘密の花園』+『私のこまどり』が課題書。Kindle Unlimitedで光文社古典新訳文庫の土屋京子さんの新訳を読みました。
少年ディコンたちが話す「ヨークシャー訛り」の翻訳が、地方に暮らす人々への敬意にあふれていると意見が一致。こういうのって、新訳を読むときの醍醐味です。土屋さんは中部地方の出身なので、私は「名古屋弁がベースになっているのでは?」と思いましたが、読者によってどこの方言を思い起こすかは違うみたい。
今、『秘密の花園』のような、植民地主義時代が背景になっている作品を読むと、貴族の「常識」にびっくりさせられます。そういう過去は、なるべく打ち消さずに、「解説」や「あとがき」で現代の批評家が説明すればよいと私は思う派です。光文社の古典新訳は、解説やあとがきがすばらしいと思います。
文庫解説については、斎藤美奈子の『文庫解説ワンダーランド』を読むと、解説者の腕の見せ所がとてもよくわかります。おすすめです。
私はディコンの動物と話せる能力、自然からいろいろなことを読み取れる能力に関心を持ちました。彼が牧童だからなだけではなくて、魔力のようなものを秘めていると思い、ちょっと聖フランシスコを思い出しました(動物の守護神なので、よく絵画などで動物たちを引き連れている)。ツイッターのスペースでこれについて話していたら、リスナーさんに、「むしろムツゴロウさんを思い出す」と言われました。
西洋と東洋では動物に対する考え方が違いますよね。あらゆるものに霊が宿ると考える東洋では、自分も動物と同じになって相手をベロベロなめるムツゴロウがいて、西洋だと動物を守ってあげる聖人がいる、という違いかも?と読書会のメンバーに教えてもらいました。黒柳徹子が「私は動物と話せる」とよく発言していますが、あれも東洋的なアニミズムのあらわれなのかも。
『私のこまどり』はアマゾンでダウンロードできるものを読みました。なぜバーネットが『秘密の花園』を書くことになったのか、創作秘話的な短い読者への手紙です。同人誌『ほんやく日和』Vol.3に入っている訳を読みたかったのですが、郵便事情のせいでまだ手元に届いてません。残念。
総じて、バーネットはイギリス人なのに、イギリス的なお話をアメリカ人に読ませてヒットさせているところが商売上手という結論にいたりました。
6歳の姪っ子にも『秘密の花園』を送って、読んでもらいました。一日で読んだって!すごい集中力。
次は、YAを離れて、台湾の『雨の島』を読みます。