ハロウィーンが終わると私の住んでいるカナダでは、赤いポピーのバッジを胸にあしらう人が増えてきます。第一次世界大戦が停戦になった11月11日が「リメンバランス・デー」という戦没者記念日なのです。アメリカでは「ベテランズ・デー」と呼ばれています。アメリカもカナダも、第一次世界大戦どころか、現在進行形で様々な紛争に派兵しているので身近な記念日なのです。
最近仕事で『Where War Ends』という本を読み、そのドキュメンタリーも見ました。アメリカのブッシュ政権時代に始まったイラク戦争で直接戦闘に関わった兵士の、退役後の心の苦しみを描いたものです。
兵士たちは退役後PTSDなどに悩まされ、アルコールやドラッグに依存して定職に就くこともままならず、ホームレスになったり自殺したりします。戦闘で亡くなれば「名誉の戦死」ですが、退役後に精神的な苦しみから自殺するとそうはならない。兵士が退役して社会復帰するときに抱える問題を兵士個人に押しつけるのではなく、軍を海外派兵すると決めた社会の問題として考えませんか? と訴える内容です。裏返して言うと、同じ国民の間でも、戦争に行った人と戦争に行っていない人の距離が開きすぎているのです。
本の英語は読みやすいですが、アメリカ軍のことがわかっていないとわかりにくい言葉が出てきます。ドキュメンタリーは『Almost Sunrise』というタイトルで、アマゾンプライムで見ることができます。そう長くはないのでお勧めです。