Launch America

週末、NASAとSpaceXによる有人ロケットの打ち上げをテレビで見ていました。ケネディ宇宙センターの発射台に宇宙飛行士を運ぶテスラ。その走行姿を見ながら、イーロン・マスクってすごいなと思いました。

去年2019年はアポロ11号が月面着陸に成功した50周年でした。NASAのTシャツが流行ったし、発射から月面着陸までの様子を見せるドキュメンタリー映画が上映されたりもしていました。映画は私も見ましたが、1969年の映像をデジタル化し、現代の観客も楽しめるような作りになっています。あれに比べると、週末に見たクルードラゴン+ファルコン9の映像は、信じられないほど鮮明で美しかった。クルードラゴンがファルコン9から分離される瞬間、特に第二段階のセパレーションのとき、背後に見えた地球の姿には、心を鷲掴みにされました。

SpaceXのCEOイーロン・マスクは、自分の子どもに一般人には読めない不思議な名前を付けたり、ロサンゼルスにトンネルを掘ったり、なにかとエキセントリックな人です。それでも、ペイパルといい、テスラといい、この30年間を振り返って「世の中何が変わったか?」と聞かれたときに必ず名前が上がりそうな事業を立ち上げてきた先駆者でもあります。特にテスラは、ビッグ3を敵に回してアメリカで起業したのだから感心です。日本で、トヨタを脅かす自動車会社を作る人が現れたと想像してもらえれば、その肝っ玉の太さがわかります。別に私は彼のファンでもありませんが、あのような人がいないと、サイエンスに憧れる次世代も現れないだろうし、世の中も変わらないのではないかと思うのです。

私はPBSでロケット打ち上げの生中継を見ていました。SpaceXの社長グェイン・ショットウェルが、「私を信じて雇ってくれたイーロンに感謝します!」と嬉しそうにコメントしていました。こういう要職に女性を登用できる彼にまた感心してしまいました。

ちなみにPBSはアメリカの国営放送なので、様々なところに配慮があって、スタジオにいるNASAの解説者たちも女性や黒人でした(ケネディ宇宙センターからの実況中継には白人男性レポーターを配置)。さらに2020年らしく、プレキシガラスで区切られたなかで実況中継をしていました。

この週末、アメリカでは警察による黒人への暴力に反対する抗議運動が全米各地で起きていて、ロケット発射どころではない人たちも大勢いました。宇宙開発のような領域では多様化が確実に進んでいます(1969年のアポロのとき、ほぼ白人男性だけだったのに比べれば)。一方で、別のところでは全然そうではなく、テレビの前に座ってニュースを見ているだけで居心地の悪い違和感に苛まれました。

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