The Handmaid’s Tale

週末にクラブハウスで、ドラマ版の『The Handmaid’s Tale』について語り合いました。とても楽しかった。この日のために、夜な夜なまとめ観をしていましたが、残すところあと3話で、話し合いに突入しました。内容が重く、咀嚼しなければならないセリフや情報も多いので、一気に観るのはきつかったです。

シーズン1と2はすばらしいのですが、シーズン3にもなると、あっちこっちでサバイバルゲームのようになり、ご都合主義な感じも出てくるのですが、それはそれ。

あと、カナダがやたらとよい国のように描かれているのですが、最後のほうで、カナダにもギリアデ支持勢力がいることが描かれていて、やや安心。そして、彼らがプラカードをもって、フォーターフォード夫妻を支援したり、贈り物をしたりして、一種の「ファンダム」を築いていることをほほえましくすら思ってしまいました。私は反ギリアデですけどね。

余談ですが、このドラマを見まくっているあいだ、秋篠宮家の家族写真をネットで目にしました。なんと、女性陣がみな青いスーツを着ていて、「ギリアデ?」と思ってしまいました。宮内庁の人は『侍女の物語』を踏まえて、あのカラーコーディネートをしたのでしょうか……(?)日本だと、そこまで『The Handmaid’s Tale』が認知されていないんですかね。

次は何見ようかなと、「見たいドラマ&映画マイリスト」を見たら、リストがめちゃくちゃ長くなっていて呆然。とりあえず、Netflixの『アンという名の少女』を見てます。1985年版のドラマが好きだったのですが、やっぱり、同じ原作でも、映像や切り口が進化していますな!!

↓これ、1985年版

呪われている私

「やったぜ、久しぶりにニューヨークに遊びに行けるぜ!」とホテルを予約し、久々に旅行気分を味わえたと思ったら…… ワクチンを2回接種した上に、カナダを出るときと、アメリカを出るときとで、PCR検査を2回受けなければならないことを知り、愕然としました。いろいろなことが緩和されてきているので、PCR検査はもうなくなったと思い込んでいたのでした。

ニューヨークに着くやいなや検査しなければ、帰りの飛行機に間に合わないかもしれない。この時期に長期滞在はできないし…… と悶々とした結果、ニューヨーク行きは断念することにしました。

実は、ヒュー・ジャックマンのミュージカルを見に行く予定でした。サンフランシスコに住む友達とタイムズスクエアで合流し、マンハッタンで遊ぶつもりでした。それが……(泣)

思えば、私は最初から呪われていました。まず、ミュージカルのチケット代300ドルを友達に立て替えてもらっていたので、お金を返そうとしたら、事件が起きました。配車サービスLyftの車中に、現金300ドルが入ったバッグを置き忘れたのです。なんたってアメリカで起きたことですから、「300ドルも入ったバッグを真面目にホイホイと返しに来る人なんて、いるわけない!」と周囲に言われていたのです。ちゃんと、現金を送り届けてくれた正直な運転手さんに、お礼に50ドル渡しました。これが「呪い1」

それから、パンデミックが起きて、ミュージカルは延期に次ぐ延期(呪い2)。「春のニューヨークならいいよね」と言っていたら、真冬に延期されました。寒いカナダから寒いニューヨークに行くのは嫌だ!!(呪い3)。そして、今回のPCR検査です(呪い4)。

「Hamilton」のミュージカルを見に行くときも散々な目に遭ったのですが、いつか何の問題もなくブロードウェイに行きたいです。

Guild Park

トロントの東に「ギルドパーク」という、取り壊された古い建物のかけらを集めた公園があります。トロントは、ヨーロッパの街に比べれば、(ヨーロッパ的な)歴史は浅いし、割とあっさりと古い建物を壊してしまうことも多い…… この街に引越したばかりの頃は、古いものを残したいと考える建築家や写真家が案内する散歩ツアーに参加したり、彼らのブログをよく読んでいました。

いやぁ、この公園はなかなかよかった。いちおう、歴史的な建造物を残しておこうという気があるから、こういう公園が成立しているのだと思いますが、ゴロゴロと置いてあるだけで、低い「かけら」ならベンチがわりに座ってもよい、というおおらかさ。

「そうね、これは残したくなるよね」というものもあれば、「これ?」と思うものも並べてあります。

これは Bank of Toronto という昔あった銀行の建物の外壁。左が先住民、右がブリタニア。真ん中は、てっぺんにビーバー、左上がイギリスを象徴するライオン、右上にまたビーバー、左下は麦穂、右下が貿易船。穀物を自由貿易して、イギリスからの経済的独立を目指しますよ、という決意のあらわれ?? ちなみに、Bank of Toronto は合併により、今は TD になっています。

こちらは、インスリンを発見して、ノーベル生理学・医学賞をとったバンティング博士の自宅にあったマントルピース。マントルピースだけなの!? という不思議な光景。

もっと大きな、ギリシャ神殿をまねたようなものもあるのですが、そこはウェディングの撮影に使われていたので、近寄れませんでした。雪が積もった日にまた行きたい。

翻訳者向け書評講座のご案内

豊崎由美さんによる翻訳者向け書評講座を企画しましたので、ご案内いたします。

日時:12月5日(日)日本時間で13時開始(Zoomでの開催)
所要時間:約3時間から4時間
費用:1500円
参加希望の方は、knsbookclub@gmail.com (新田享子)宛にメールを送って下さい。お支払方法は銀行振り込みになります(海外の方ならPayPalも可能)。人数は10人を予定しています。人数は最低10人揃えば、活発に合評できるので、その辺りの人数を目指していますが、今のところ特に制限は設けておりません。

課題書:
エルサレム(ゴンサロ・M・タヴァレス 河出書房新社)
クイーンズ・ギャンビット(W・テヴィス 新潮文庫)
キャビネット(キム・オンス 論創社)

以上3作のうちどれを選んでいただいてもいいです。複数作書いていただいてもかまいません。

「書評」のつもりで書いている方は800〜1600字。これを訳したとして、「訳者解説」のつもりで書いた方は1600〜3200字。自分がどちらにしたか明記してください。また、「書評」を選択した人はどういう媒体に載せるつもりで書いたか、最後に(想定媒体=○○××)と付記してください。

提出方法:ワードファイルで作成(縦書き)、フォントやサイズは適当で。無記名でお願いします。
提出日:11月24日(水)いっぱい。knsbookclub@gmail.com、新田享子宛に送ってください。
その後、11月29日(月)までに参加者全員分の「採点」をしてもらいます。申し込みをしていただいたときに、この「採点」の説明をします。

翻訳の実績レベルは問いません。みなさん、ふるってご参加ください。

クララとお日さま

私はイシグロファンです。今回、初版のサイン本を買いました。半年くらい前にトロント国際映画祭の「In Conversation With」というイベントにカズオ・イシグロがズームで登壇したのですが、その参加条件がサイン本の購入だったのでした。

ようやく一気読みする時間がとれたのですが、『クララとお日さま』は世界同時刊行だったうえに、パンデミックのせいで、オンラインで様々な読書会があり、先にかなり内容を知っていました。それでも、私には感動的で、興味深かったです。多くの人が言うように、『私を離さないで』ほどの驚きも衝撃もありません。が、『私を離さないで』が出版された2005年に比べると、AI技術が一般に広く認知されているために、「クローンよりデジタルだ」と思う人が増えたから、こういう話が成立するのかなと。ちなみに、「ああ、これはやっぱり空恐ろしい話だ……」と思ったのは、7割ほど読んでからです。最後は、クララの太陽崇拝と健気な献身ぶりに泣きました。

日本の読者がクララのことを「ドラえもんっぽい」というのにも納得しました。でもクララには一体どのような「体」が与えられているのか、本ではよくわからない。ドラえもんのような愛くるしいぬいぐるみタイプではないことは明らかで、エクス・マキナ系の体かな……

今回は、紙の本で文字を追いながら、オーディオブックを聞くという方法で読みました。私の今一番のお気に入りの読書法です。英語で『クララとお日さま』を読もうかなと思っている人には超おススメです。朗読者はSaru Siuというアジア系アメリカ人女性。この朗読者がすばらしい! AIと人間をとてもうまく区別しています。ジョージーの家にいるお手伝いさんが「外国から来た移民」の設定になっているので、訛りのあるブロークンな英語で、時々AIのクララに話しかけるのですが、そのお手伝いさんの声もすっごく上手です(あのお手伝いさんが唯一の癒しの存在だった気がする)。たった一人で、AI、人間の老若男女、移民のお手伝いさんの声を担当し、すべてがうまい! オーディオブックのスピードに自分の読書スピードが左右されますが、倍速で聞いたりせず、Saru Siuのすばらしい朗読を心行くまで堪能してほしいです。

ところで、「初版+サイン本」のお宝写真を友人の本好きの旦那さん(アメリカ人)に見せたところ、「表紙デザインが違う」と偽物疑惑を掛けられました。アメリカ版とカナダ版(UK版)の表紙デザインが微妙に違うのですね。こちらがアメリカ版。