Covidiots!

カナダでは新型コロナの新規感染者が減ってきて、少しずつ経済が再開しています。引き続きソーシャルディスタンスを保ち、マスクもしろと、厳しく言われているのですが、気が緩んでいる人は増えています(私も人のことは言えない)。そしてアメリカほどではなさそうですが、あえてマスクもしないし距離も無視する人もいます。

先日、ホームセンターで買い物しようと並んでいると、後ろにいたお姉さんが、マスクをあごにひっかけて携帯電話でしゃべりまくりながら、私との距離を縮めてきました。この3か月間で2メートルの距離感にすっかり慣れてしまった私の頭の中でアラートが鳴りだします。くるっと振り返って、「A bit too close(ちょっと近すぎる)」と言うと、「あ、ごめんごめーん!」と後ろに下がってくれたので、安堵しましたが……。保健省などから出ているガイドラインを失念している人やあえて無視する人々を総じて、英語では「covidiots」または「moronavirus」と呼びます。おそらく、「コロナをうつしてやる!」「コロナなんか気合で吹き飛ばしてやる!」と叫んで外出するような、ある種の悪意を持っている人が「moronavirus」にあたるのかも。第二波がすぐに来なければ、続々とcovidiotsが増えて立場が逆転し、「なんでそんなに間空けてるんだよ!」と言われる日が来るような気がしてなりません。まあ、いつの日かこの転換点がやってくることは喜ばしいことなのですが。

様々なコロナ関連のスラングが生まれていて、とてもおもしろいです。まずは、coronaを略した「rona」。名詞にも動詞にも使えます。動詞としての用法は、「あいつなんかコロナにかかってしまえ!」と呪いをかけたい場合の「I hope he’ll rona out」など。しかし他人の不幸を願う文言なので要注意。独り言か家庭内での発言にとどめておきましょう。

コロナ騒ぎのなかで生まれた赤ちゃんは「corona baby」と呼ばれ、成長すると「quaranteen」と呼び方が変わるそうです。ちなみに、「quarantine」の綴りが難しいので発音が似ている「corn」が使われることもあるようです。ズーム会議中に呼ばれてもないのに参加して荒らしていく行為を「zoom-bombing」と呼びますが、恋人にズーム上で別れを告げる行為は「zump」です(zoom + dump)。そして「covidivorce」。これは日本でも「コロナ離婚」と言われてますね。

とりあえず、ワクチンや薬ができるまでは、注意しなくては。STAY SAFE!

I’m in love with…

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「横恋慕」という言葉、その行いに反して、美しい響きがあるように思います。プラトニックというか片思いであれば問題でもないですが、実際に略奪するとなると…… 泣く人が出てきてしまいます。そして「横恋慕」のこの「横」という一文字が横入り感を醸し出し、「よこれんぼ」と母音「お」で終わるのが罪を軽くしています。日本語だと味わい深い言葉も、英訳すると身もふたもなくなってしまう、そんな一例を動画でお楽しみください。

ところで、私は日本の政治家や行政の人々が日本国民に向かって「Stay home」と英語で呼び掛けていることを不思議に思っていました。日本にも外国人がたくさん住んでいるからかしら? などと思っていました。私の住むカナダは英仏の二か国語が公用語なので、「Stay Home」と「Reste Chez Toi」と両方あります。だから、なんか理由があるのかな、くらいに疑問に思っていたのです。

友達にこの疑問をぶつけてみたところ、「英語で言われると、お願いなのか、命令なのかが曖昧に聞こえる」という答えが返ってきました。なるほどねー! 

そして、「Black Lives Matter」。この抗議運動がなくても、私は常々「matter」には悩まされているのです。これを和訳するとしたらどう訳しましょうか。「黒人の命も大事なんだ」「黒人だって生きている」「黒人の命を粗末に扱うな」―― 悩んでいるうちに、「Blue Lives Matter」や「All Lives Matter」などの派生語も続々と登場しています。で、結局「ブラック・ライブズ・マター」でお茶を濁しておくのが一番だと逃げてしまう。個人的には「黒人の命を粗末に扱うな」が一番的を射ているように思います。だって、本当に粗末に扱われているとしか思えない事件が後を絶たず、そのことへの抗議なのですから。

ひょっとしてウィキペディアにこれについてのページがあるのかな? ありました……。日本語訳への異論がいっぱい書かれています。こ、こわい。