『コブラ会』をあちこちから勧められた。極めつけは、マーク・マロン(アメリカのコメディアン)。彼のポッドキャストを聞いていたら「シーズン2まで全部一気に見てしもうた」と言っていたので、私も観てしもた。余談だけど、マーク・マロンは、痛い目に遭ったことがあるので、映画や本の話をするなら、絶対に自分で見て/読んでからでないと話さないというポリシーを持っている(本人談)。
まだ全話見切ってはいないけど、すごく面白い。シーズン3もあるらしい。この間まで、字幕で韓流ドラマ見たり、1話が複雑で長い『Better Call Saul』を見ていたので、「ながら作業で楽しめる」のもうれしい。オリジナルの映画を見てからのほうが断然楽しめるけど、私は、ドンピシャの世代なので、大昔に見た記憶をたどりながら楽しんだ。
『コブラ会』の何が面白いかというと、何と言っても、アイデンティティ・ポリティクスから距離を置いているところ。「よし、お前は弱者なのだな! 戦え! 容赦はするな!」と教える。その後は、善悪の間をずっとうろうろしているのだけれども。
あと、『ベスト・キッド』にいた、ミスター・ミヤギの不在。というか、「そういうすばらしい人が昔いた」という雲の上の存在になっているところ。すべてが見通せる仙人は『コブラ会』にはいない。空手を教える先生もみーんな「人生模索中」。ただし、『ベスト・キッド』の主役だったダニエルは、空手チャンピオンになって以来、そのまま「勝者路線」をつっぱしってきているので、「おれは間違ってない」と一番思い込みが激しい。なんなら、「すべては金と権力で解決!」「後輩は指導してやりたい!」とすぐ思ってしまうから、一番めんどうな大人になっているとも言える。そこが笑える。
オリジナルの映画と唯一変わってないのが、カリフォルニア風に咀嚼されて、なんだそれ?な日本文化。それも笑える。ダニエルが作ってる盆栽など。いや、あれは盆栽ではない。「ボンザーイ」という別の園芸なのだ。『ベスト・キッド』のときは、ミスター・ミヤギに遠慮して堂々とは笑えなかった。今はぎゃはぎゃは笑える。
今月はこれで乗り切るぞ!